「東大合格100万円」大作戦


※写真: 東京大学駒場キャンパス、正門・時計台(1号館)

「東大合格なら100万円」市長が批判に反論

「難関大の合格者に100万円の奨励金を支給する」。昨年11月、鹿児島県伊佐市が、市内の県立大口(おおくち)高校に入学者を集めるため奨励金制度を決めた。しかし、これに「お金で釣る教育は間違い」など批判的な声が殺到。

・・・県教育委員会が定員割れの続く同校に昨秋、「来年度の新入生募集は2学級とする」と通告した・・・伊佐市は県教委と話し合い、「15年4月から1学年2学級に」という方針をくつがえし、「15年7月の進路希望調査で80名以下なら2学級に」と猶予期間を引き出した。では、それまでに進学志望者をどうやって増やすかだ。・・・

伊佐市では、大口高校の志願者減の最大の理由を、大学進学実績の低下だととらえた。東大合格者は03年に1人出て以降はゼロ。・・・進学実績を伸ばすために、「志願者81名以上という数字を達成するためにはインパクトがある支援策が必要」(隈元市長)とひねり出した対策が、難関大合格者への奨励金だった。・・・
週刊朝日、dot.、2015年02月26日、引用

リアル・ドラゴン桜?

リアル「ドラゴン桜」やなぁ〜。TVドラマの「ドラゴン桜」では、倒産寸前のバカ学校「龍山高校」を“事業精算”するために来た桜木建二弁護士が、着任後に発想を変え、「本年度、5人の東大合格者を出します!」という、とてつもない計画(妄想?)をブチ上げる。「東大合格」への徹底した受験指導を行い、紆余曲折の末、最後はなんと3名(!)の東大合格者(理Ⅰ)をホントに出してしまう。


1年弱の期間で偏差値35から偏差値70という、まさに(現実離れした)夢のようなストーリーなのですが、実は結構 “現実に沿った” 内容らしい。実際に東大合格者の体験やノウハウ、そして大手予備校などの各種情報が詰まっています。

進学志願者81名がノルマ?

ドラゴン桜では「東大合格5名」がノルマでしたが、“ラージ桜(大口桜)”(?)では「進学志願者81名以上」が分水嶺。進学志願者は昨年7月で56名で、現時点では66名と10名しか増えていない。これを2015年7月までに、つまりあと半年で、81名以上に増やさなければならない。けっこうハードルが高い!

まぁ「進学志願者」だから、実際に合格しなくてもいいわけで、喫緊はなんとかツジツマ合わせをするでしょう(失礼・・・)。しかしそうはいっても、肝心の大学進学実績が伴わなければ、元の木阿弥。またすぐにでも県教育委員会から「新入生募集は1学年2学級に減らせ!」とお達しがあるでしょう。くわばら、くわばら・・・。

「100万円」は進学実績向上のキッカケに

「お金で釣る教育は間違い」などの批判はごもっともですが、少子高齢化と過疎化に悩む自治体(鹿児島県伊佐市)にとって、背に腹は代えられない状況です。何かインパクトのある起爆剤が必要で、「100万円」をキッカケに大学進学実績がアップするのであれば(そしてその波及効果を考えれば)、実にお安いものです。

もともと勉強へのモチベーションという意味では、“賞金”のような手段は本当はあまり有効ではない。「ご褒美」は一時的にはモチベーションを上げるが、永続性は小さいのです。しかし、大学進学を検討し、受験勉強を始めるキッカケには充分になる。

そしてこの「100万円」をキッカケに、生徒たちが大学受験への勉強を開始すれば、その勉強という行為自体がモチベーションになる。心理学で言う「作業興奮」です。何か少しでも作業を始めることで、脳の「側坐核」が刺激され、モチベーションがアップします。「なりきる」と「やる気」出る?でも紹介しましたね。

ぜひこの「東大など難関大合格なら100万円」大作戦が功を奏することをお祈りいたします。



※参考資料:
鹿児島県立大口高等学校、Wikipedia、最終更新2013年02月08日
東大に行ってきました、ネット塾ジャーナル、2013年03月25日
ドラゴン桜 (テレビドラマ)、Wikipedia、最終更新2014年11月16日
東京大学偏差値一覧、大学受験プラス
THE21 2015年 03 月号、PHP研究所、2015年、34-35頁
「なりきる」と「やる気」出る?、ネット塾ジャーナル、2015年02月09日
無理やり始める事で“やる気”が出てくる!『作業興奮』という心理、NAVER まとめ、更新日2014年12月04日
作業興奮、カウンセラーだより裏面、立川女子高等学校、平成24年(2012年)09月05日
エミール・クレペリン、Wikipedia、最終更新2014年10月19日

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