予備校にすがる悲しい大学

近年、大学によっては「空洞化」というか「地盤沈下」というか、教育機関としても能力を大きく疑問視されるケースが出てきています。なんと大手予備校などに「入学試験問題」を外注する大学も増えているという。

「来ますよ。毎年たくさん来ます。入学試験を作ってくれないか、という依頼が」

ある有力予備校の担当者は、うんざりとした表情でこう告白する。・・・問題作成の依頼は、一般には知られていないが、大学関係者間では当たり前といった雰囲気さえある。・・・どうして大学は外部へ作成依頼するのか。ある私立大学の入試責任者は、「大学に金がないことが根本的な原因だ」と話す。

少子化が進む中で、大学が増え続け経営が厳しくなっていることに加え、国からの補助金も減っている。大学経営が厳しくなる中、大学教授が退職しても新たな常勤の教員は補充しないといった手段で、教員数を削減する動きが広がる。結果として、正しく高校の学習内容の範囲で問題を作れる教員がいなくなった。・・・

予備校の「裏メニュー」にすがる悲しい大学、日経ビジネスオンライン、2017年02月22日

大学にカネもヒトもない

このような実態になったのはなぜか。記事にもあるが、ありていに言って、大学にカネがない。ヒトがいない・・・ということです。基本的に補助金で成り立っている大学経営であるが、長らく続いてきた公的資金の投入が減らされてきている。国立大学においては「年間1%削減」というルールが10年ほど続いている。

“親方日の丸” 日本政府自体がそもそも財政難なのでやむを得ないのですが、大学経営の本丸である「お客様」の学生数も横ばいというか、いや2011年をピークに僅かに減少傾向にあります。少子化久しい昨今なので、これまたやむを得ない状況です。


※図: 9.大学、文部科学統計要覧(平成27年版):文部科学省、一部引用

徐々に大学の運営資金が減りつつある状況です。こうなると、どうしても教授、准教授、講師などの先生たちの人件費も、俎上にのせざるを得ない。優秀な先生方をぜいたくに採用する状況にはないのです。それどころが聡明な教授が退職されても、その後釜がいない・・・なんていうことも意図的に行われやすい。まぁ人減らしです。

そうなると入試問題を作る人材が大学にいなくなる・・・という従来の常識では考えられない事態に陥る。そこで大学側は予備校に「入試問題」を外注するという、あってはならないことが現実化するわけです。入試問題が事前に漏れやすいる、ということも当然ながら心配されます。

定評のある大学を選びたい

さらに、そもそも大学において入学試験は「肝」です。大学はそのポリシーをもって、取りたい学生を適切に選抜するという大切な部分を、大学入試は担っている。まさに大学そのものの存立基盤=入試と言っても過言ではない。そこが根底から脅かされている。けっこう恐ろしいことです。

こういう側面からも例えば、やはりある程度、定評のある大学を選びたいものです。「近大マグロ」とで有名な近畿大学など、偏差値や知名度だけでなく、社会からどう評価されているか、どう大学が努力しているかを、受験校を選ぶ際に十分に考慮したい。

※参考資料:
なぜ日本の大学政策は国内外からの指摘にもかかわらず運営費交付金削減と競争的資金政策に拘り続けるのか、BLOGOS(ブロゴス)、2016年11月02日
近大マグロ、Wikipedia、最終更新 2016年3月30日


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