英語のスペルと発音は滅茶苦茶


※画像:大学入試 世界一わかりやすい 英文読解の特別講座、関正生(著)、KADOKAWA/中経出版、2011年

いや〜、相変わらず凄いですね。何がスゴいって、「受験サプリ」あらため「スタディサプリ」の大学受験講座の関正生先生(英語)です。動画授業で英語のスペルと発音に関して、面白い “余談” をしていました。

【スタディサプリ】動画授業で苦手を克服

みなさん、英語のスペル(スペリング、つづり、単語を書き表す表音文字の並べかた)と発音がめちゃくちゃな理由をご存じですか。私は小学生の頃から「変だなぁ」と思っていたのですが、当時の大人は誰一人説明してくれませんでした。いや、いまだに不思議に思っています。日本語だと「さ=サ=差(例)=sa」じゃないですか。でも英語は、たとえばcoatやboatの「oa」は “オウ(óʊ)ˈ” だけど、abroadの「oa」は “オー(ˈɔː)” なんですよ。

文字と発音が対応していない

これって、日本人的にはおかしい。いや、中国語もすこしかじっているのですが、たぶん中国人的にもおかしい。文字と発音(イントネーション含む)は1対1対応ではないものの、多対多対応ですよね。何らかの法則というか、割と単純なルールが存在します。まぁ日本での漢字の読み方とか面倒ですが、例えばこの漢字には4つなら4つの発音があり、それさえ踏まえればほぼ外すことはない。ルール自体は単純です。適応に迷うことはありますが。

しかし、英語の場合、発音のルール自体が無いというか滅茶苦茶というか、漠然としたフィーリング(慣れ?)に依存している・・・と言ったら言い過ぎでしょうか。スタディサプリ(旧受験サプリ)の関正生先生も英語のスペルと発音のいい加減さを指摘しています。

関先生曰く、

母音が2個並んだ時というのは、一つ目の母音のアルファベットの歌(?)を歌う。二つ目の母音は無視します。たとえば「lie」は “ライ” ですよね。「ie」のiに注目して、eは無視します。iは「イー」じゃなくて「アイ」と読みます。だから「lie」は「リー」じゃなくて「ライ」。「rain」も同じ。「a=エイ」で「i」は無視。だから、”レイン”。「see」も「sea」も同じ発音(síː)なのは、一応ルールが有るのです。

「coat」も「boat」もこの “アルファベットの歌” ルール(?)なのです。ところが、例外があって「abroad」は、”アブロウド” じゃなくて “アブロ〜〜〜ド” と伸ばす。大学受験ではこの例外部分があえて狙われて、出題されます。

まぁざっくり主旨を書くと、こういった感じです。さらに関先生の話は続き、

結論から言うと、英語のスペルと発音には明確なルールがない。なぜか。実は15世紀にグーテンベルクというドイツのおじさんが「活版印刷」というのを発明して、それが英国にも波及した。ちなみに「グーテンベルクの活版印刷」は世界史を勉強している生徒さんにはお馴染みです。


ヨハネス・グーテンベルク、Wikipedia、最終更新2016年09月10日

当然ながら英国等でも「英語」が「活版印刷」される。英語の文章がバンバン印刷され、英語のスペルも固まる。固定化される。それなのに、理由はよくわからないのですが、15世紀以降も英語の発音はどんどん変化していきます(!)。そんでもって、英語のスペルと発音の「乖離」が進む。

現在英語を学んでいる日本人は、ざっくり “550年間” の英語の “スペルと発音のギャップ” の影響というか、知的な犠牲(?)を強いられているわけです。

・・・ドン引きですね。私はこの関先生のお話(上記記載は筆者が改変しています)を聞いて、愕然としました。

ここからは私の推測ですが、ドイツ語とかフランス語とかイタリア語とかスペイン語とか、かなりスペルと発音がルール化されています。慣れてくれば、スペルを見て、発音も間違うことは少ない。グーテンベルクの活版印刷がスタートして以降、文字が印刷物としてガンガン印刷されて、おそらくはドイツ人もイタリア人も無意識のうちに発音を大きく変えない方向にカジを切ったのでしょう。

まぁ聖書とかバンバン世に出回れば、読み方も統一しなきゃね・・・という自然の欲求も教会だけでなく、世間全般でにじみ出てくると思う。スペルと発音に一定のルールがあれば、聖書も読みやすいし、キリスト教も発展しやすい。むろん日常生活や仕事的にもやりやすい。自明の理です。

スペルは「固定化」、しかし発音は「変化」

これに対して英国は欧州大陸と離れた島国なので、何らかの事情で、ドイツからの印刷技術が広まり英語のスペルが「固定化」されていったにもかかわらず、英語の発音は「変化」していった。時代はさかのぼりますが、11世紀のノルマン・コンクエストの何らかの影響があったのかもしれない。「英語」を欧州大陸から守ろう(?)という複雑な心理も働いた気もします。

関先生も言っていましたが、こんな歴史トリビアを知っていたとしても、英語ができるわけじゃない。大学受験に成功したり、資格を取れたりするわけじゃない。でも、英語学習のモチベーションアップには少しはつながるかもしれない。これには同感です。

語学には実は奥深い裏話や謎に満ちた歴史的経緯があるのです。

※参考資料:
活版印刷、Wikipedia、最終更新2016年07月27日
ノルマン・コンクエスト、Wikipedia、最終更新2015年09月30日


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