フジテレビ「あすなろラボ」の「実験。林先生は子供の勉強で困っているお母さん達の悩みを解決できるのか?」の続きです。引用部分は、一部改変・省略していますが、おおよその口述筆記です。
親と子の関係~母親編
ここで「母・息子」そして「母・娘」の関係に講義は移ります。
(母・息子関係ですが・・・)父親と母親、どっちが楽か。僕はこっち(母親)のほうが楽だと思います。
お母さんの嫌いな男の子って根本的にいない。全員お母さん大好きなんです。にもかかわらず、途中からキライにしてしまうのは、どっちが悪いかというと100%こっち(母親)が悪い。生まれた時からいつも一緒にいてくれて、おっぱい飲ませてくれて・・・だからお母さんは男の子を「良いマザコン」にしていかなくてはいけない。マザコン2種類あります。良いマザコンというのは、お母さんがしっかり面倒を見てくれたことをちゃんと自覚できている息子です。
では、どうしたらそうなるか。実は一つしか手はない。これは後で・・・。これは僕が言っていることではなくて、吉本隆明というよしもと・ばななのお父さん。有名な哲学者。彼の文章をそのまま朗読します。
そして、「母親と娘」。この4つ(父親と息子、父親と娘、母親と息子)の中で一番楽だと思う。ただ、おそらく反抗期が一番激しいのがここ。だけど、女性というのは恐ろしい、いや素晴らしいのは、女性は母に対してさえ母になれる。お母さんを「上」から見て・・・。そして最終的には、外から見て友達のような関係になれる。だからここは楽なんです。
手作り料理の重要性
しかし、現実には母親と子どもとの関係がうまくいっていないケースは多い。その原因は何か。一つの見解として、吉本隆明氏の考えを読み上げます。林先生いわく「恐ろしい文章」という吉本氏の分析です。
“女性が自分の想像した料理の味に家族のメンバーを馴致(じゅんち・飼いならす)させることができたら、この女性は家族を支配できるに違いない。支配という言葉が穏当でなければ、家族のメンバーから慕われ、死んだ後でも懐かしがられるに違いない、と言い換えても良い。それ以外の方法では、どんな才色兼備でも、高給取りでも、社会的地位が高くても、優しい性格の持ち主でも、女性が家族から慕われることはまず絶対に無いと思ってよい。”
僕はこれは非常に正しいと思います。「ごはん」しかないって言っているのです。
つまり、スーパーのお惣菜やコンビニの弁当を買ってくるとか、お金を渡して外食させるなどを、長期間重ねていくうちに、絶対にキライになるはずの無い息子や娘に、母親が嫌われるということが起きる。いくら忙しくても、「家で手作りの食事を食べさせる」この一点は絶対譲ってはダメなのだそうです。
吉本隆明氏の意見が正しいとするならば、「手作りの食事」という一点が崩れれば、母親が子どもの心をつかむことも子どもの尊敬を得ることも決して無い。「手作り料理」の重要性、すなわちいわゆる「母の味」は、一般的に考えられているよりも格段に重要なのかもしれません。人間は動物の一種であり、所詮「食べ物」には弱いからね。
※参考資料: 吉本隆明、Wikipedia、最終更新2013年07月08日