ネット塾のメリット・デメリット
ネット塾(インターネット学習塾・オンライン予備校)のメリットは言うまでもなく、「安い・早い・うまい」です。なんか昔の某牛丼チェーン店のキャッチフレーズみたいですが・・・。リアルな学習塾や予備校より学費が「安く」、いつでもどこでもネットにつながりすれば「早く」受講でき、その科目でも最高レベルと目される講師陣の「うまい」映像授業を受けることができる。
しかし、当然デメリットもあり、なんせネット塾は多少のしばりはあっても、所詮「自学自習」の域を出ない。“電子高機能” 参考書みたいなものです。概して生の授業に比べ、臨場感というか切迫感というか、生徒に対する強制力に乏しい。やはりライブは強い。生のコンサートと音楽CDとの差はあるのです。
その感覚をちょっと書かれた記事が日経新聞に出ていました。
この記事で、遠藤幸彦・野村マネジメントスクール主席研究員いわく、オンライン授業は素晴らしいが、従来の教室の効用も大きいと説く。やはり、「体験の共有を通じ、持続性の高い深い洞察が得られる」。生の授業を含む「教室」での時間が重要だと、若干ノスタルジックな感もあるが、主張されています。
オンラインの効率性と教室でのアウトプット
そこで最近で話題の「反転授業」(Flipped Classroom)ですが、まず①オンラインで講義を受け、基礎的な学習をカバーし、②教室ではより発展した形で相互学習・議論を深める。やはり①のオンライン学習は効率的で、知識習得の効果は高い。自分のペースで学習でき、特に繰り返し学習ができるのが大きいようです。さらに②の教室での学習ですが、今まで十分とは言い難かった「アウトプット学習」がしっかり実行できる場になるのです。
このアウトプット学習はエフェクティブで、非常に知識として残るというか、脳に刻まれやすいそうです。いわゆるワークショップ学習ですね。教室がワークショップ(工房)になるわけで、学習した内容がある種の実践できる場になるのです。
例えば、単なる「読書」と「輪読会」の違いみたいです。一人で読書する場合、著者と自分(読者)との二人だけの一方的な対話なので、記憶に残る部分は限定的になりがちです。これが「輪読会」となると多数の参加者(読者)による議論となり、これに加わる必要上、必死になって(?)勉強するわけです。グッと記憶に残りやすくなります。
反転授業は “輪読会”?
反転授業は “輪読会” のように効果的に学習が進むようです。ネット塾でも、運営元の予備校がリアルな講座(教室)と併用するケースもあるでしょう。ラーニングイノベーションを運営する青藍義塾はそれを狙っています(※無料動画予備校ラニノベ「ラニノベとは」参照)。
また、既存のネット塾、例えば秀英iD予備校では、サポート体制が完備しています(※秀英iD予備校の「充実のサポート」参照)。これを逆手にとって(反転授業とまではいきませんが)秀英の学習アドバイザーや塾教師に、学習方法や教材内容に関してどんどん質問していくのもありでしょう。さらに思うに、ネット塾の受講生が自主的に行う「オフ会」(オフラインミーティング)もありかもしれません。
遠藤氏も言っていますが、「要は、異なる手法を補完的に組み合わせ、いかに教育投資の効果を高めるか」(上記の日経新聞)に尽きます。ネット塾系の登場・充実で、オフラインの教育現場も充実することを願ってやみません。
※参考資料:
・講義が宿題になる――「反転授業」今後教育は「反転学習」が主流になっていく、点をつなぐ:ITmedia オルタナティブ・ブログ、高橋誠・一般社団法人自分史活用推進協議会事務局長
・【エッセイ】情報化時代の大学と「反転授業」、ylab 山内研究室::Blog、山内祐平氏、2011年11月23日
・一斉授業からの脱却 反転授業(FlippedClassroom)、教育家庭新聞、2013年02月04日
・東京大学とコーセラ(米国)が大規模公開オンライン講座(MOOC)配信に関する協定を締結、東京大学、2013年02月22日
・私の教育論
・無料動画予備校ラニノベ(ラーニングイノベーション)、http://l-innovations.com/、株式会社青藍義塾
記事を大変興味深く拝見しました。アウトプットの場をどのように工夫するのかというのが、反転授業形式のポイントになると思います。
反転授業を「オンライン+リアル」のハイブリッド教育と捉えがちだと思いますが、「ITを利用して個別に知識をインプット+理解度別演習やグループワークによってアウトプットを行い強い体験をさせる」というように抽象度を上げると、もう少し可能性を広げられるのではないかと思っております。
具体的には、アウトプットの場をオンラインルームで行うということに挑戦しており、リアルの教室に比べて、かえって優れている点もあることを見出しています。
今後も、記事を楽しみにさせていただきます。ありがとうございます。