「ウィンドウズ クラスルーム協議会」
なんだそれ? そう思った人も多いと思います。マイクロソフト社のOB会? いやいや、違います。れっきとした大手企業約10社による協議会です。メンツは①インテル、②内田洋行、③NEC、④NTTドコモ、⑤東京書籍、⑥東芝、⑦日本マイクロソフト、⑧NTT東日本、⑨富士通だそうです。
教育現場のIT化に向けた協議会らしい。東京書籍以外はハード、ソフト、通信とIT系企業ばかり。会長は日本マイクロソフト(MS)の樋口泰行社長で、運営事務局は、やはりMSの文教本部になる。名前からして「ウィンドウズ○○○協議会」だから、当然か・・・。
ハード的には「タブレット」と「電子黒板」で、ソフト的には「動画」活用で、教育環境をグッと向上させる目論見です。将来的には「国内外の学校間をITでつないで交流するなど、教育現場の国際化を進める」(日経新聞5月9日)そうです。学校の “ネット塾化” で、“読み書きパソコン” 路線を強化、いや通り越し、グローバル人材の育成をも目指す。
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Googleの脅威、市場の萌芽、Windows 8の相性
教育・学校といえばグーグル(Google)のクロームブック導入。Googleによれば、クロームブックを採用する学校が世界中で増加、現在2,000校超だそうです。Googleの教育市場への浸透に、MSは脅威を感じているでしょう。
同時に、日本の教育現場では、まだクロームブックを始め、iPadなどのIT(ICT)教育は始まったばかり。一部を除き、まだスタートしていない。
さらにWindows 8(ウィンドウズ8)は教育・学習に相性がいい。iOSもクローム(Chrome)も同様でしょうが、英才教育はともかく一般の “公共教育” なら、過去のIT資産との関連からWindows 8に一日の長がある。学校の教員・職員もWindowsには慣れているからね。
Googleの脅威、市場の萌芽、Windows 8の相性・・・そういった理由から「ウィンドウズ クラスルーム協議会」で、日本の学校教育をWindowsで囲い込んでしまおう、としているのでしょう。企業戦略として当然です。
YouthSpark
MSは既に「YouthSpark」というICT導入推進プロジェクトをローンチしています。アメリカでは8歳から13歳の子供を対象に「YouthSpark Summer Camps」を企画したり、日本では群馬県立前橋高校の生徒にWindows 8での模擬授業をデモしたりしています。
でも正直、まだ始まったばかりという感じは否めません。でもこのMSによる「ウィンドウズ クラスルーム協議会」設立で、MSもICT教育に本腰を入れてきたなぁ、と思いました。
“YouthSpark” 対 “Life is Tech”(?)
例えばMSの「YouthSpark Summer Camps」では、もちろん自社製品を使うのでしょう。対照的に、独自に小中高生向けITキャンプをはる「Life is Tech!」はiOS主体です。独立系なので、メーカーに縛られていない分、より創造的かつクールな内容かもしれません。
もし日本でYouthSpark Summer Campsが開催されれば面白そうですが、自分の子供に最初にすすめるのは、まずは「Life is Tech!」かもね。
※参考資料:
・日本マイクロソフトなど9社が「Windowsクラスルーム協議会」設立、教員向け研修を開催、ITpro、2013年05月09日
・IT化が進みつつある教育現場(3)、ネット塾ジャーナル、2013年02月07日
・YouthSpark Summer Camps、Microsoft Store
・マイクロソフト、Windows 8を活用した教育ICTを推進する「YouthSpark」をローンチ、リセマム、2012年11月14日
・Windows 8は授業で使えるか マイクロソフトがモデル授業を公開、ITmediaニュース、2012年11月13日
・ITキャンプ「Life is Tech!」、ネット塾ジャーナル、2013年05月07日