ヒトを褒めずに、モノを褒める

東大生は親から「勉強しなさい」とあまり言われないそうです。理由は簡単で、親に言われなくても勉強していたり、効率よく勉強し成績をあげている子が多いからでしょう。・・・

マウスに迷路を学習させる有名な実験があります。「ゴールに餌を置いておく(=褒める)」、「道筋を間違えたら電気ショックを与える(=叱る)」、「正しければ餌、間違えたら罰を与える(=褒めたり、叱ったり)」という3つのパターンで実験を行うと、効率よく学習できるのは、「ゴールに餌を置いておく」だけなのです。・・・

私も、大学の研究室の学生には、「徹夜して頑張った甲斐(かい)があったな」などと褒めることは決してありません。「おもしろいデータだ」などと実験結果そのものへの感想を楽しげに言うだけです。・・・

「100点取れて、エライね!」がダメな理由、池谷裕二・東京大学大学院薬学系研究科准教授、PRESIDENT Online、2014年03月01日

マウスに学ぶ “ほめて育てろ”

いや〜、”ほめて育てろ” とよく世間では言われますが、マウスの実験ではまさに “褒める効用”、実際には “餌の効用” が如実に結果に出ています。アメとムチでは圧倒的にアメの効用が高い。ちょっと驚きました。

ただ同時に、東大・薬学系研の池谷准教授がいうには、教育において「褒める」ことは大事だが、「結果そのもの」を楽しげに言うのがコツだそうです。一生懸命勉強しているプロセスや成績などのスコア(点数やレベル)を褒めてはいけない。

これは彫刻に例えると、「彫刻そのもの」を “具体的” に褒めるのは良いが、「彫刻を彫る努力」や「彫刻の出来栄え」を漠然と褒めるのは良くないそうです。そう考えると、勉強している子どもを褒めるのにも、それなりの知識やノウハウが必要ですね。

「認知的不協和」には注意

池谷先生いわく「努力」や「成績」を褒めると、①勉強そのものへの興味と②褒められたいという思いとの間にズレが生じ、心理学用語でいう「認知的不協和」が生じるそうです。”ヒトを褒めずに、モノ(具体的な事象)を褒める” という感じでしょうか・・・。ぜひ、筆者自身でも今後は意識していきたいと思います。

ともかく、教育における「認知的不協和」には気をつけたいですね。あくまで学習者と一体になって、学習者の立場に立って “褒める” 必要があるわけです。

※参考資料: 心理学用語「認知的不協和」theory of cognitive dissonance、gooヘルスケア

 プレジデント Family (ファミリー) 2014年 04月号 [雑誌]

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