事例:ベネッセが先行
通信教育最大手のベネッセコーポレーション(岡山市)は2014年度から、通信教育講座「進研ゼミ」を受講する小学1~5年生などに対して、タブレットを無料で配布します。既に中学1年生の生徒には、タブレットを無料で配布済みです。
同社はタブレットを通じて、生徒が課題を解いた日時や進捗度合いといったデータをきめ細かく収集・分析し、生徒1人ひとりに合ったアドバイスをすることを狙っています。データ分析を手掛ける「データサイエンティスト」の採用にも積極的で、2015年度には、小学6年生にもタブレットの無料配布の範囲を広げる予定です。
※これだけはマスター!情報戦略キーワード – 教育ビッグデータ、ITpro、2015年03月13日
マック原田氏ひきいるベネッセ
今まで、ビッグデータ解析の教育利用では、リクルートの「受験サプリ」を実例としてい挙げていましたが、「進研ゼミ」のベネッセもビッグデータには取り組んでいます。さすが、凄腕 “ITビジネスパーソン” 原田泳幸社長ひきいるベネッセコーポレーションです。
原田さんは1972年に日本NCRへ入社して以来、横河ヒューレット・パッカード、アップルコンピュータ・ジャパンとコンピューター・IT畑を歩まれてきました。御存知の通り、アップルコンピュータでは社長も経験され、今や日本屈指の “プロフェッショナル” な社長です。
会員にタブレットを無料配布
実は少子高齢化はもとより個人情報流出事件の影響もあり、進研ゼミの会員数はやや減少しつつあります。そこで、進研ゼミ生にタブレットを無料で配り、生徒・児童の利便性向上とビッグデータ解析および運用の一挙両得をねらおうとしているようです。
教育サービスは情報サービスなので、「タブレット」を使えば、情報の出し手も情報の受け手も双方がやりやすい。同時に、データの蓄積や分析にも重宝します。ベネッセくらいの大手企業であれば、タブレット無料配布サービスは、ビッグデータ解析と合わせると、充分に元が取れる投資とも考えられます。
スケジュール&モチベーション
ビッグデータ解析で「進研ゼミ」は、キメの細かい教育サービスを提供しようと試みています。まずは個別の生徒のスケジュール管理・進捗管理とモチベーションの維持・向上に大きく貢献しているとのこと。こういった部分は “理屈” よりも “過去の経験” によるところも大きい。いわゆる “過去の経験” はビッグデータによる「相関関係」分析と発想が近いので、十分効果が期待できます。
人間の心理は複雑で、個別の環境や性格その他もバラバラなので、理詰めで(因果関係で)モチベーションアップを働きかけても、なかなかうまく行きません。しかし、膨大なデータから的確な相関関係がみえてくると、意外とすんなり「やる気スイッチ」を押すことができる。そう考えて間違いないでしょう。
近未来の教育産業にとって、ビッグデータの活用の良し悪しが、まさにその会社等の勝敗を左右しそうですね。
※文頭のロゴマークは「Benesse | ベネッセグループ」より引用しています。
※参考資料:
・タブレットは無料で 進研ゼミの「急がば回れ」戦略、日本経済新聞、2014年03月31日
・ベネッセの危機 深刻な会員数減少止まらず赤字、ビジネスジャーナル、2015年09月24日
・原田泳幸、Wikipedia、最終更新2015年09月24日
・ベネッセコーポレーション、Wikipedia、最終更新2015年09月25日