なぜ学生の大企業志向は間違いではないのか?
・・・表は、リクルート社が発表した「就職ブランド調査」で、1975年と1995年卒業の文科系大学生(男子学生のみ)が選んだ就職人気ランキングです。40年前と20年前に就職活動をしていた先輩たちということになります。もし、この人々が希望通りランキング上位の企業に入社できていたとすれば、果たしてその選択は正しかったのでしょうか。
結論から言えば、案外間違っていなかったといえるでしょう。・・・
日本の産業構造が変化していないということの表れでもあります。アメリカであれば、アップル、マイクロソフト、インテル、グーグル、フェイスブック、アマゾンといった、40年前には存在しないか、誰も知らなかったような会社が、現在では世界的企業になっています。
ところが、近年の日本では、トップ企業の入れ替わりが極めて少ない状況が続いているのです。成長大企業の代表格であるソフトバンクやファーストリテイリングが、学生の人気ランキングでは上位に挙がってこないことも、停滞イメージを助長しています。・・・
※PRESIDENT Online、2015年02月12日、引用
安定を求める日本人
いや〜、この記事にある表をみて、ドキッとしちゃいました。20年前、40年前の人気企業が(合従連衡あるものの)今だに日本経済を支えている。そういう実態が、この国にはあるのですね。この“新陳代謝”の無さ(少なさ)は経済全体で俯瞰すると、やはり問題でしょう。ただ、個々人の人生というか、雇用という観点から見ると、なにかと安定さを求める日本人らしさが出ているとも感じます。
「偏差値50以下」企業が欲しがる大学(ネット塾ジャーナル、2014年12月11日)
おおかた安定を求める島国・日本の国民性が、大企業の新陳代謝を比較的スローにしている、と言えるかもしれません。“教育”においても同じでしょう。日本の教育のベースにも「安心・安全」のメンタリティーが強く流れている気がします。突出した才能も出てきてはいますが、総じて「まぁ、みんなで仲良く、お互いに助けあいながら、みんなでがんばろう!」みたいなノリが、我が国の教育の原点だと思います。
大企業で働くメリットは大きい
そうなると、例えば大学生の就職活動で、比較的安定感のある大企業が学生の人気を持ち続けるのも、うなづけます。「寄らば大樹の陰」は動かしがたい国民性なのです。そして、実利的な面でも、大企業への就職はメリットが大きい。まず第1に給料をはじめとする金銭面です。なんといってもお金の面は無視できません。
そして2番目として、プレジデントの記事によれば、ちょっと意外ですが、仕事のやりがい等の面でも、大企業は中小企業に決して劣っていません(逆に、完全に勝っているとも言えませんが・・・)。この仕事そのものの価値(金銭面を除く価値)という面でも、大企業と中小企業は甲乙つけ難いのが実態です。
さらに3つ目として、ジョブ・ローテーションや配置転換、そして転職を考えると、ほとんど大企業のほうが勝っています。大企業ですと、様々な仕事を経験し幹部社員に成長していくというキャリアが組めますし、もし「仕事が合わない!」場合でも他に様々な業務があり、そちらへの配置転換で再チャレンジできます。そして「転職」する場合でも、大企業は有利です。一般的に大企業から中小への転職は容易ですが、その逆は難しいのが厳然たる事実です。
良い学校を出て、良い会社に入る
例外は必ずあります。ありますが、トータルで見て、上記3点は現実として言えます。ですから、やはり昔から言われているように、「良い学校を出て、良い会社に入る」ということは、今でも(昔ほどでは無いが)日本人のサクセスストーリーに十分なるわけです。
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ただ、昔と違い、終身雇用はかなり崩壊していますので、今は「良い学校を出て、良い会社に入り、経験・資格を身につけ、キャリアを作る」という感じでしょうか。昨今の日本では経済のグローバル化・サイバー化の進展もあり、いわゆる「能力主義」が強まっていますから。
それにしても現実問題として、大学受験で一流と言われる大学に入り、大企業に就職するのは、(将来を約束されるわけではないが)かなり有利な選択ではあります。21世紀の今の時代でも、「学歴」は「資格・経験」と並び、とても重要なファクターの一つだと思います。