教員にiPad一式を貸与

学校へのタブレット導入はだいたい自治体レベルで行われるが、通常では予算の関係もあり、モデル校や実証校を決めてIT機器を配布する形でスタートする。しかしながら、兵庫県淡路市では、さらなる予算的な事情もあり、実証校ならぬ実証教員(?)に必要な機材一式を貸与する形をとる。この変わった取り組みのレポートが、TechTargetジャパンに載っていました。

“iPadのばらまき”に終わらせない――淡路市が先生にiPadを託す理由

・・・兵庫県淡路市が取ったタブレットの導入方法は、こうした学校単位の配布とは一線を画す。市内の小中学校を対象にタブレット導入を進める淡路市は、モデル校や実証校を設けず、「意欲的な教員を募り、教員に必要な機材一式を貸与する」という導入方法を取る。・・・

「学校特有の文化として、『みんなで使おう』と掛け声を挙げても、結果として『誰も使わない』で終わる傾向がある。その場合、単なる“ばらまき”に終わってしまいかねないという問題がある」と西岡氏(※注1)は指摘する。・・・教員自身がIT化の取り組みそのものに価値や理解を示していなければ、長期的な活用にはつながりにくい。・・・

もう1つの理由がコストだ。実は淡路市はタブレット導入に当たり、ICT支援員を配備していない。「淡路市は小規模で、ICT支援員の配置は財政的にも厳しい。だが逆に“スモールメリット”を生かし、教育委員会と学校現場がダイレクトに連動することを意図して、教員同士で支え合う仕組みとした」と西岡氏は語る。・・・研修員制度のように、IT活用の取り組みを経験した教員が次の教員を育てるような仕組みを作れば、取り組みも広がり、コスト削減も図れる・・・

タブレットを教員にひも付かせる研修員制度。そのメリットとして、小西教諭(※注2)は以下の3点を挙げる。
1. 自校で、自分の授業の好きな場面で手軽にiPadなどのIT製品を使うことができるので、効果的な授業になりそうだと思えばその場で即実践できるし、即修正もできる
2. 小中学校の別や教科を問わず、他校の教員と授業実践の交流ができるので、互いに刺激し合い意欲的に楽しく授業力向上に努めることができる
3. どの教員も応募した教員であり意欲的で、積極的である

一方、小西教諭は研修員制度のデメリットとして「学校でITを使う授業と使わない授業がはっきり分かれてしまうことだ」と指摘する。・・・「現時点では配慮も必要であり、最初の普及段階ではこうした問題が出るのもやむを得ないと考えている」と語る。・・・

※筆者注1: 淡路市教育委員会 学校教育課 特命参事 兼 指導主事の西岡正雄氏
※筆者注2: 淡路市立北淡中学校 保健体育 小西教諭
TechTargetジャパン 教育IT、2014年11月19日、引用

教員ひも付けiPad導入

ちょっと記事の引用で、予算的な話が長くなってしまいましたが、この“教員ひも付けiPad導入方式”(「意欲的な教員に必要なタブレット機材一式を貸与する」という導入方法)は素晴らしい。根本的に、この試みは成功しやすいと思う。

つまり、iPadなどICT教育に理解があり、意欲的な教員にしぼって「機材一式」を貸すわけです。その教員はノウハウやモチベーションも高く、創意工夫に努めるでしょうし、彼ら彼女らの授業がICTを活用した「生徒が自らの学びを深めていける」(小西教諭)カリキュラムになるのは自明の理です。

ただもちろん、記事でも指摘されていたように、ICT(IT)を使う授業と使わない授業がハッキリ分かれてしまうきらいはある。古くからのクラシックスタイルの授業とICTを駆使した“自らの学び”スタイルの授業(ワークショップ?)に分かれるでしょう。公共教育の平等性・平準化という意味では、やはり問題がないわけではない。

しかし、現実には「ヒト・モノ・カネ」が教育現場でも足りない。今は、学校現場でのICT教育の黎明期・過渡期でもあり、いたしかたないでしょう。そういった制約された環境で、できるだけ無駄なく効率的に教育プログラムを推進していこうとすると、この兵庫県淡路市における「実証教員へのタブレット貸与」という導入方法も理にかなっていると思う。

生徒の“学び”の主体性

今が過渡期であり、多少の時間はかかるものの、近い将来にほぼすべての教員がiPadなどタブレットを使って授業を進めるようになると思われる。そうなれば自然とこの教育の平等性という問題も解消される。そして児童・生徒から見れば、一方通行的だった授業から、自ら主体的に学ぶワークショップ・スタイルに、学校での勉強スタイルも大きく変わっていくのです。

もちろん指導する教員の考え方や力量にも左右されるので、iPadを導入したから教育の質が向上する、とは言い切れません。とはいえ、やはりタブレットを駆使したICT教育は、その特性から児童・生徒の“学び”の主体性に良い影響を与える可能性は高い。指導教員の理解が高ければ、iPad導入教育は生徒の学ぶ力に寄与する、と思います。

                 

※参考資料: “iPadのばらまき”に終わらせない――淡路市が先生にiPadを託す理由、TechTargetジャパン 教育IT、2014年11月19日

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