「挫折を知らない奴は打たれ弱い」

東大一直線の子、二流止まりの子 それぞれの思考パターン

いくら私立中高一貫のトップ校・準トップ校に合格しても、全員が東大をはじめとした難関大学へ進学できるわけではない。合格したとたんに気が緩み、高校受験もないために遊んでしまって成績が落ちる、というケースはよく耳にする。・・・

3年前、プレジデントFamilyは東大生にアンケートを実施した。中学時代にスランプはあったかとの問いに、中高一貫校出身の学生の8割が「はい」と答えた。興味深いのは、その時期。実は「中2」をあげた率が最も高かったのだ。・・・
プレジデントFamily 2013年5月号、2013年03月24日

「中2」スランプは健全な証

まぁ、「中2」で勉強のスランプが来るのは仕方が無い。通常の人間は、いかに若く成長期の子どもであっても、そんなに長期間コンスタントに勉強し続けられるものではない。中高一貫校出身者といえば、中学受験で小学3年生あたりから受験勉強をスタートしている。おおよそ小3~中1の3~5年間、がっつり勉強しているわけで、思春期もあり「中2」あたりでスランプになるのは至極当然です。

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これは、むしろ望ましい“健全”な成長過程です。このスランプが高校2~3年生あたりで出ると、下手すると大学受験をドロップアウトすることになりかねない。だから、中高一貫校出身の東大生の8割が、中学2年生ごろにスランプだったのは、健全な証でしょう。

挫折を知らない奴は打たれ弱い

ドラマ「ドラゴン桜」で一番好きなセリフがあります。東大現役合格を目指す「特別進学クラス」の担任・桜木建二弁護士の言葉です。

あいつらはよ、今、壁にぶち当たってるんだ。だから、香坂が脱走したこと、これは逆に良かったことでもある。合宿も後半に入りな、大イベントである水野の勝負も終わった。だから、奴ら、気が抜けてんだ。ここでダレたりな、逃げ出したりするくらいが丁度良いんだ。


逆に合宿をすんなり乗り越えられる、その方がヤバかったんだ。なぜなら、挫折を知らない奴は打たれ弱いんだ。壁にちょこちょこぶち当たって、その都度乗り越える。そういう奴らの方がな、打たれ強いんだ。逞しく成長できるんだ。・・・

これは桜木先生の人生哲学であり、世の中の真実でしょう。普通の教育関係者からは、なかなか出てこない発想です。ちなみに、冒頭のプレジデントFamily 2013年5月号の記事でも、「挫折したほうがいい」なんて一言も触れられていません。むしろ逆で、中学・高校と継続的にキッチリ勉強し、すんなり難関大学へ進学することを“良し”としている。

・・・そんなに生身の人間はうまくいかないのに、と挫折の多い(単なるヘタレ?)人生を経験している筆者はそう思っちゃいます。優秀といわれる教員・教育関係者でも、意外と“生徒の挫折”を肯定的に受け止められない方が多い気がする。

人生に挫折はつきもの

これはまずい。人生に挫折はつきものです。特に、これからの時代は少子高齢化の老大国ジャパンです。国自体がシュリンク(萎縮)していく状況で、日本人すべてが“挫折”と折り合わなければならない。さらに、少子高齢化を打破すべく、国としてグローバル経済に活路を見出すのもいいですが、グローバルな環境下で日本人に“挫折”が無いなんてことは絶対ありえない。

これからは非常に厳しくも面白い世の中(ここで言う「世」は「世界」も含む)になるので、例えば中学時代にスランプを経験するなど、子どもたちは学校生活でもドンドン挫折経験を積んだほうが良い。従来通り勉強やスポーツに取り組むことと同様に、“壁にちょこちょこぶち当たって”「打たれ強い」資質を育むことも、学校教育の重要な要素でしょう。

ある意味、教育現場にも「Let It Go」の精神の醸成(?)が必要かもしれません。例えば、“Let it go and get on with your life.(そんなこと忘れて。次があるんだから。)”、といったメンタリティーですね。良い意味で、多少の失敗など屁とも思わない(?)資質が、もしかしたらこれからの日本人には必要かもしれません。



※参考資料:
ドラゴン桜 (テレビドラマ)、Wikipedia、最終更新2014年07月01日
let it goの意味・用例、英辞郎 on the WEB、アルク
東大卒業式「タフな人生を」、ネット塾ジャーナル、2013年03月30日

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