銀の匙(さじ)

橋本武さんといえば、灘高校の伝説的な名物(失礼)講師。残念ながら2013年9月に101歳で亡くなりましたが、その型破りな授業と類まれな学習効果でまさに日本の教育界の伝説です。

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橋本武さん(灘中・高の元国語教師)…戦前から50年間教壇に立った。第2次大戦後は中勘助の自伝的小説「銀の匙(さじ)」を中学の3年間かけてじっくり読み込む型破りな授業を続けた。

…小説に干支(えと)が出てくれば昔の時刻や「甲子園」の名称の由来に話が及び、百人一首が出てくれば歌を暗唱させた。自ら学び、感じ、考える力を養う授業で国語力が向上したこともあり、スポーツで有名だった同校は全国屈指の進学校になった。…
※日本経済新聞、2013年10月25日、夕刊

イメージ展開型学習

これはまさに体験型学習の要素を取り入れたイメージ展開型学習でしょう。マインドマップやメモリーツリーと相通ずるところがある。

つまり、教材は一見たったひとつだけだが、そこから関連情報がまさに放射状に無数に散りばめられている。「銀の匙」を読み込むことで、その文章・作品に含まれている要素を学び、さらに「銀の匙」から枝葉が伸びるように関連するあらゆる情報をも学ぶ。脳科学的にも理にかなった勉強スタイルです。

また、インターネットのワールドワイドウェブが元々持っている古典的な機能にハイパーリンクがあるが、ウェブで何かを勉強すると、リンクや検索エンジンにより、勉強の範囲が果てしなく広がっていく。一般にネットサーフィンと呼ばれる行為に近い。そのネットサーフィン的な学習スタイルが、橋本先生の教授法と言ってもいいでしょう。

ネット塾にも合う

したがってネット塾やeラーニングでも、この橋本先生の指導法を大いに参考にし、しかもネットの特性を生かしたスタイルをぜひ構築すべきでしょう。つまり、勉強の取っ掛かりは小さく、教材はたった一つだけでも、学習していくうちにどんどん発展していく。気がついたら森羅万象に詳しい脳が出来上がっている。実に素晴らしい教育法だと思います。

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