大学が郊外にあったキャンパスを都心に移したり、都市部に広げたりする動きが全国で進んでいる。少子化などで学生の確保が難しくなる中、交通の便の良さや、勉学、研究の多角化などをアピールし、広く志願者を集める狙いがある。大学院で学ぶ社会人などに配慮した環境づくりも増えており、生き残りに向けた大学の「都市攻勢」はさらに続きそうだ。・・・
※日本経済新聞、2013年07月04日、引用
少子化で大学が都心回帰
大学の都市部への移転が増えているそうです。理由はもちろん、学生集め。少子化で潜在的な学生の数が減ってしまい、いろいろな面で利便性に長ける都市部への進出が加速している。また、18歳人口の減少により、各大学は社会人学生の確保にも力を入れ、大学院の充実も大きな検討課題のようです。
上記は大学側の論理ですが、これ以外にも派生的に「移転の経済効果」も見逃せません。移転を受けた自治体などへの経済効果です。例えば、東京理科大学が今年4月に千葉県野田市から東京都葛飾区に移転しました。日経新聞によると、JR金町駅周辺でも、学生が急増し、直接的な経済波及効果だけでも年間約27億円とみられているそうです。
郊外の自治体にとっては死活問題?
まぁ良いことずくめにみえるが、逃げられた郊外の自治体にとっては死活問題でしょう。これも自由主義・市場経済の原理だから仕方がない。筆者が大学生だった頃はバブル経済前夜の80年代中旬で、土地・不動産の高騰が著しく、大学は猫も杓子も例えば東京・郊外の八王子にキャンパスを移転していました。18歳人口も180万人位はいました。
それが今や、120万人程度でしょうか。今後はさらに減り、100万人くらいになる見込みです。このように少子化が進み、土地の価格も下落傾向。大学も郊外にキャンパスを持つ意味が薄れた。いや、郊外にいたら、学生が来ない。その傾向がここ10数年で顕著に表れてきたそうです。大学を抱えていた郊外の自治体には受難の時代ですね。時代はバブルの頃と180度変わりました。
しかし、人気の国際教養大学は秋田・郊外に
しかし今は、ネット塾(インターネット学習塾・オンライン予備校)やMassive Open Online Courses(MOOCs・オンラインでの大学講義)の時代でもあります。ネット上で勉強するには、都市部であろうと郊外であろうと関係ありません。それに、人気の国際教養大学(AIU)などは郊外も郊外、秋田の自然あふれるキャンパスに位置します(熊も出ます)。
※写真: 内定率100%大学のスゴさと意外な弱点【国際教養大学】 – NAVER まとめ、リンク
ですから、郊外の大学はネットを駆使して、独自の工夫を凝らせば、学生集めは可能だと思います。10年後には「大学、ネットを駆使し、郊外で攻勢」という記事を見たいものです。
※参考資料:
・平成21年人口動態統計の年間推計、厚生労働省
・18歳人口及び高等教育機関への入学者数・進学率等の推移、文部科学省
・東大、垂直統合からグローバル戦略へ、ネット塾ジャーナル、2013年06月07日
・驚異の就職率100%、国際教養大学(AIU)、ネット塾ジャーナル、2013年07月01日
・内定率100%大学のスゴさと意外な弱点【国際教養大学】、NAVER まとめ、LINE Corporation