学校やネット塾(インターネット学習塾・オンライン予備校)などで勉強していると、ふと「なぜ勉強しなければならないのか」と思いますよね。「なぜ勉強するの?」というのは、子供たちの永遠の(?)疑問だと思います。
時間励行、従順、反復作業
著名な未来学者のアルビン・トフラー氏はその著書「第三の波」で、公共教育(マス・エデュケーション)は裏のカリキュラムを持ち、それは①時間励行、②従順、③機械的な反復作業であると指摘しています。これらの3大要素は、旧式の工場労働者やオフィスワーカーたちにとって、必須の “素養” でした。
つまり子供たちは学校という名のマス・エデュケーション・システムで、未来の労働者の素養(時間励行・従順・反復作業)を刷り込まれる。「なぜ勉強するの?」の答えは、ありていに言えば、「会社で使える勤勉な労働者になること」です。
柔軟性と独自性
ところが今やトフラー氏の “第三の波”、すなわち “情報化社会” が現実となっています。情報化社会において、「時間励行・従順・反復作業」の価値は下がり、柔軟性と独自性、リーダーシップなどが幅を利かすようになります。これまた、ありていに言えば、「会社を伸ばす才能ある人材になること」です。
こうなってくると、「なぜ勉強するの?」の答えはけっこう難しい。優れた個性・才能を伸ばすため・・・と言うのはカンタンだが、具体的な勉強内容と結び付けるのは難しい。
コミュニケーション能力
そこで「なぜ勉強するの?」の答えの一つとして、言語学者の金田一秀穂氏は「コミュニケーション能力」をあげています。「国語・日本語」に限定される答えかもしれませんが、国語を勉強することで確実にコミュニケーション能力は高まる。なぜなら、国語すなわち言葉は、①言語能力と②コミュニケーション能力という2つの側面を持っているから。
「言語能力」は、発音、語彙、文法などで、言語(=国語)の基幹部分です。それに「コミュニケーション能力」が乗っかる。この「伝える」能力が、現実社会では特に大切です。とくに昨今の情報化社会、ネット社会では、コミュニケーションの重要性は高まるばかり。ビジネスでもいかに効果的に「伝える」かが、勝負の分かれ目でしょう。
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学校やネット塾で学習する理由のひとつは、「コミュニケーション能力」の醸成です。国語に関しては確実に言えます。他の教科も広い意味で「コミュニケーション能力」を学んでいるのでしょう。英語、数学、理科、社会を学ぶ理由の一つは、広義の「伝える力」を得ることなのかもしれません。
※参考資料:
・アルビン・トフラー、Wikipedia、最終更新2013年05月03日
・第三の波 (1982年) (中公文庫)、アルビン・トフラー著、中央公論社、1980年、p50
・金田一秀穂、Wikipedia、最終更新2013年01月28日
・学びがわかるインタビュー:金田一秀穂(教授)インタビュー、杏林大学:外国語学部
・受験生の方:教員紹介:金田一秀穂、杏林大学:外国語学部
・ドラゴン桜公式副読本 16歳の教科書~なぜ学び、なにを学ぶのか~、講談社、2007年
・賢人の日本語力、幻冬舎、2013年