出身大学は人生にどれほど影響するか
まず、就職活動。かなり影響すると答えた人が59.7%、多少影響するが35.0%と、出身大学が就職活動に影響するとの回答が実に95%近くに達した。・・・一方で転職活動となると、かなり影響するは29.5%と大幅に減少、多少影響するが46.5%と高いものの、就職時に比べれば転職は出身大学の影響が減少するようだ。
年収、昇進においても、出身大学が影響するという回答が6割を占める。完全な実力主義の会社もあるだろうが、伝統企業においてはやはり学閥は健在で、入社時のみならず出世においても、出身大学名が重視される傾向はまだ根強いといえそうだ。さらに出身大学の影響は、結婚や恋愛にまで及んでいる。・・・
就職時と今で、評価に大きな違いがある大学があることは興味深い。教育熱心な大学の卒業生のほうが、社会的に見て幸福そうであるという、驚くべき結果も出た。将来の子女の進学先を考えるときには、こうした大学の最新の動向にも気を配りたい。
※PRESIDENT 2012年10月15日号、2014年1月20日、引用
出身大学の影響は限定的
このプレジデント誌の記事はなかなか興味深い。実は楽天リサーチの協力を得て、2012年08月にネットで調査をしたアンケート結果をもとに、書かれた分析記事です。大まかな内容は、①出身大学は後々の人生に影響は与えるものの、ざっくり6割ほどの影響力で限定的。しかしながら、②教育熱心な大学の卒業生のほうが社会的に幸せそうだという、大学教育の“内容”の重要性にも言及している。
つまり、時代とともに大学のブランド力は変動し、(A)卒業時の大学の社会的評価と(B)時間を経ての評価とが、変わってくるわけです。それが上記①の限定的な影響力でしょう。しかし、実際に在学中に受けた教育は後々の人生に(良い意味で)ボディーブローのごとく効いてくる。プレジデントの記事では「教育熱心な大学の卒業生のほうが、社会的に見て幸福そうである」と書いてあるが、まさに②です。
重要なのは大学教育の“中身”
やはり、大学というのは名前(看板・ブランド)だけではなく、もっとも重要なのは中身なのです。教育および研究内容なのです。その証拠に、例えば、経営コンサルタントのグル(世界を動かす教祖)と評される大前研一さんも、自身の知的・精神的支柱である教育を授けてくれたマサチューセッツ工科大学に、感謝の意味を込めて、定期的に一定のお金を寄付していたそうです。
「名を捨てて実を取る」という言葉もあります。今の日本でも、バブル崩壊以降の20数年で、大学の看板という「名」などあまり関係ないという“常識”が定着しつつあります。長期に渡る日本経済の混乱・停滞で、大学のブランド信仰はかなり薄まりつつあります。ただ、大学教育という「実」が思ったより非常に重要だ、ということはもっと認識されてもいい。
そういった意味でも、(上から目線ではなく)子どもたち、そして受験生の皆様には、頑張って進学することをオススメしたい。短くない人生、「芸は身を助く」ならぬ「受けた教育は身を助く」という場面も少なからず出てくる可能性があるのですから。