大人で稼ぐ「Z会」「ナガセ」



塾・予備校、大人で稼ぐ 「Z会」「ナガセ」少子化時代の勝ち組、資格や英語重視

予備校や学習塾が「冬の時代」を迎える中、気を吐く勢力がある。学習塾も手掛ける増進会出版社(静岡県長泉町)や、「東進ハイスクール」を運営するナガセなどだ。英会話や資格講座など「大人向け」をいち早く強化し、収益源に育ちつつある。・・・

増進会出版社が大学生や社会人向けの資格講座に力を入れている。TOEICから文章力を高める講座、大学院入試の志望理由書の書き方講座まで。中高生向けで培ったきめ細かな通信添削指導が特徴だ。・・・増進会出版社は資本提携した資格取得のTACと共同で15年度から、国家公務員試験や公認会計士講座の通信教育コースを始める計画。・・・

ナガセも企業向けのビジネススクールや語学研修を強化する。TOEIC対策の映像授業と講師派遣による集団授業を連携。毎月ネットでテストを受け学習成果を数値で測る。同テストで800点の獲得を促すメガバンクも内定者や新入行員など千人超が受講する。・・・
日本経済新聞、朝刊、2014年11月06日、引用

進む少子化とグローバル経済

少子化とグローバル経済が、既存の予備校や学習塾を“ビジネススクール”へと変質(変身?)させている。少子化といえば、2014年卒業の高校生は105万人で、これは1992年時点より約4割減。さらに2025年には14年の約1割減になる。ざっくり560万人いた高校生が、今や330万人。さらに10年後には300万人になるわけです。

楽天やユニクロの例を出すまでもなく、企業のグローバル化は進んでいます。採用時や海外展開時の選抜、さらには昇進人事にもTOEICを参考にする会社も多い。また、TPPなどの多国間貿易・経済協定をはじめとして、政府が関わるグローバル化も進んでいます。FTPなどは既に締結実績もあります。

そもそも、経済がインターネットのお陰(?)でサイバー化し、国境がなくなりつつあります。金融の世界でも、最近の円安などの為替変動をはじめ、株価や商品価格など金融状況のボラティリティーも激しくなりやすい。結果として「グローバル化」がどんどん後押しされる。

語学などビジネス系教育

先を見る予備校などの経営者なら、顧客ターゲットを子どもから大人へシフトするのも一案だと考えるでしょう。いきなり海外へ進出するのもリスクが大きいし、かと言って幼児教育も(こちらも少子化で)すでに過当競争。ネット塾化という手もありますが、コスト構造等の大転換が必要です。まずは、国内の大学生や社会人向けに、語学などビジネススキル教育を提供する方向がいいだろうと、Z会(増進会出版社)や「東進ハイスクール」のナガセが考えたとしても不思議ではありません。

高齢者教育となると、また話は別ですが、大学生や一般のビジネスパーソン向けであれば、従来の小中学生や高校生向けの教育ノウハウが活用できます。むしろ、すでに基本的知識を持つ“ベテラン生徒”たちなので、全般的にスムーズにカリキュラムを進めることができます。Z会やナガセの目の付け所はなかなかのものです。

これまた、そもそも論になるのですが、確かに「語学」や「マネジメント研修」など企業向け研修サービスは、今まさに成長産業と言っても過言ではない。企業向け研修サービスの市場規模は、今や5000億円産業に成長しています。さらに、まだまだ伸びしろが期待できる。それに“教育ノウハウ“そのものになると、Z会やナガセのほうが一枚も二枚も上手です。このあたりの分析も、彼ら予備校関係者は行っているでしょう。なかなかしたたかですね。



※参考資料:
日本経済新聞、朝刊、2014年11月06日
1955年度 2005年度 2025年度 – 文部科学省
学校基本調査、文部科学省
統計表一覧、政府統計の総合窓口、GL08020103
Z会、Wikipedia、最終更新2014年10月02日
ナガセ、Wikipedia、最終更新2014年05月27日

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