※写真:東大に受かるロボ研究・新井紀子氏「ホワイトカラーの次へ」、日経カレッジカフェ、2015年04月27日、引用
東京大学の2次試験をいずれ受験することも想定し、数学と世界史の2科目で「東大入試実戦模試」にも挑戦した。世界史は今年が初めて。・・・しかし、東ロボくんは初挑戦にもかかわらず、受験生平均を上回る偏差値54を獲得してしまった。
いくら教科書数冊とウィキペディアを丸暗記しているからといって、こんなことがあってよいはずがない。・・・現在「人工知能」と呼ばれているものは言葉を解さない。出題意図などみじんも理解できない。ただ、キーワードを頼りに検索をし、関係がありそうな文を選んできて、制限字数内にはめ込むだけだ。・・・
※「東ロボくん」研究の教授コメント 「人間、頑張れ!」、朝日新聞デジタル、2015年11月14日
別にとりわけ新井紀子・国立情報学研究所教授のファンというわけではありませんが(でも彼女は可愛いね)、何度も同じ記事を引用して恐縮です。この記事から「受験生諸君、コンピューターに負けているんじゃない。がんばれ!」みたいな意見が出てくるわけですが、少し角度を変えてみると、単純ではあるものの面白いことに気が付きます。
つまり論述問題にしても、単にキーワードを頼りに記憶を呼び起こし、関係がありそうな語句を制限字数内にはめ込むだけで、偏差値54をゲットできる。まさに「受験に知能はさほど重要ではありません。必要なのは根気とテクニック。」を地で行く話です。
ただ詰め込んだ情報を答案用紙に書く
極端に言えば、出題意図など理解しなくても(!)詰め込んだ記憶から関係ありそうな情報を答案用紙に書き込めばいい(あるいはマークシートを埋めればいい)。それで東大・京大に合格できる・・・というのはさすがに厳しいかもしれませんが、そこそこの有名大学には合格できる。そう言えそうです。
詰め込み教育を肯定する気はありません。ただ難しいロジックを考えるのは苦手で、でも記憶力には自信のある受験生は “人工知能” よろしく記憶した情報で答案用紙を埋める、と割り切るのもありかと。一般に(特に若い人において)記憶力は何度も情報のインプット学習を繰り返すことでゲットできますから、難しく考えず、ただひたすら決められた教材を反復することで大学受験を乗り切る・・・という発想でもいいと思う。
そして大学に入ったら、今度はAI(人工知能)と競うのではなく、人間本来の創造性に磨きをかければいい。そう考えればいわゆる「詰め込み教育」は創造性を鍛える前段階ということも言えます。
実は新井先生も、「AIの革新により大勢の失業者が生まれる可能性はある。データを解析して一定の判断を下すような業務は、ヒトよりもAIの方が正確に安価にこなせるようになる。」(日経カレッジカフェ、2015年04月27日引用)と指摘しています。やはり、AIが人間の仕事を奪うケースがどんどん出てくる可能性は高い。
こういった詰め込み教育ライクな学習スタイルは将来的には通用しないかもしれませんが、(それを理解したうえで)まだ当面は「詰め込み教育=必要なのは根気とテクニック」ととらえて大学受験をパスすることも可能です。それに創造性を養う前段階と位置づけても良いわけで、モノは考えようです。
※参考資料:
・ビッグデータの可能性と限界、ネット塾ジャーナル、2015年12月26日
・東大に受かるロボ研究・新井紀子氏「ホワイトカラーの次へ」、日経カレッジカフェ、2015年04月27日
・人工知能、Wikipedia、最終更新2015年10月07日