安河内哲也●やすこうち・てつや
東進ビジネススクール英語講師。・・・TOEICテスト4技能1390点満点、英検1級、国連英検特A級、通訳案内士の資格を持つ。『できる人の勉強法』(KADOKAWA中経)など著書多数。
間違えることを楽しめ!
「文法は大切ですが、細かいことにこだわらないように。私自身、30年英語をやってきて、三人称単数現在形の「S」を、いまだに間違える。もうあきらめました(笑)。けれど、アメリカ人から、今の「S」付いてないよと指摘されたこともありません。
アメリカ人自身もわりといい加減だし、彼らはそもそもせっかちだから、細かいことより先を知りたがる。だから、日本人としては間違って笑われることを気にせず、むしろ、アイツちょっと変な英語を喋るなと思われたほうが得。使い、間違え、直す。これ以外の方法で英語を話せるようになった人はいないのです」・・・
※英語を話すための7つの鉄則、PRESIDENT Online、2015年03月21日、引用
失敗を喜べ!
「間違えることを楽しめ!」って、さすが “東進ハイスクール” のカリスマ講師・安河内せんせい。普通は「間違えを恐れるな!」でしょ。ここまで言い切るのはすごい。あれ? どこかで聞いたことあるセリフだなぁ。そうだ。教育・子育てアドバイザーの鳥居りんこさんの「失敗したことを “経験値が増えた” と言って逆に喜べる」というアレと同じメンタリティーですね。
日本人は私を含め、間違いを恐れる傾向が強い。「恥の文化」というやつです。それが日本人を真面目でルールを守る人々にし、社会全体の調和を保ち、経済のクオリティーを高める役割を果たした。そういったメリットは大きい。
しかし、ご存知の通りデメリットもある。他人の目を必要以上に気にする傾向があるので、ドロップアウトした人間は社会に受け入れてもらえない。いや、実は日本の社会制度は割と寛容なので、社会は受け入れ可能なのだが、ドロップアウトした本人が社会に参加しようとしない(傾向がある)。恥ずかしいからだ。
トライ&エラー
しかし、グローバル化が進展する世の中で “” には、トライ&エラー(trial and error)を繰り返さざるを得ない。東京大学の濱田前総長よろしく「タフでグローバル」な人材にならざるを得ない。エラー、すなわち間違いや失敗を繰り返さざるを得ない状況に、日本社会は移行していると思う。だって、日本=世界最大の少子高齢化社会なんて、どこにも歴史上にも前例がないんだもの。
だから、例えば英語の勉強でも「間違えを恐れるな!」もとい「間違えることを楽しめ!」と叫ぶ安河内先生は正しい。その叫び(?)は英語教育に合っているだけでなく、今の日本社会全般の現状にも合っている。実に適切なアドバイスです。そもそも、TOEIC満点&英検1級の安河内先生でさえ、三単現の「S」をいまだに間違えるらしいし、それで問題ないというのだから・・・
話せるようになったきっかけは大学2年の夏に行ったアメリカへのバス旅行でした。・・・泊まったユースホステルには、ヨーロッパ人、アジア人と多国籍な若者も宿泊客としていました。夜はバーベキューをしながらビールなどお酒も飲みつつ、みんな英語でにぎやかに議論しているんです。・・・
よく聞いてみると三単現のSなんか付いていなければ、時制も滅茶苦茶だし、アクセントもでたらめ。それでも、楽しそうに議論は交わされている・・・。そのときは私もビールを飲んで若干気分が大きくなっていたのもあったんでしょう、「デタラメ英語でもいいから話してみよう」という気になったんです。
話し始めたら、そんなデタラメ英語でちゃんと会話は成立しました。みんなともすぐに打ち解けることができました。三単現のSが抜けていても、時制の一致がなくても、アクセントが違っていても、何の問題もなかった。・・・
※【前編】とにかくSpeak up! 三単現のSなんて気にするな! 上達のカギは度胸のみ!/安河内哲也さん、レアジョブ英会話、2014年06月18日、引用
上記はレアジョブ英会話が運営する英語学習者向け情報サイト「English Path」の記事ですが、英語なんてこんな感じでいいんでしょう。「間違う事は良いことだ! 人間、間違わなかったら進歩がないでしょう」と叫ぶ安河内メッセージは、いまや英語教育の基本ですからね。
※参考資料:
・タフでグローバルな人材育成、ネット塾ジャーナル、2015年04月17日
・安河内哲也、Wikipedia、最終更新2015年04月07日
・【前編】とにかくSpeak up! 三単現のSなんて気にするな! 上達のカギは度胸のみ!、安河内哲也さん、レアジョブ英会話、2014年06月18日