大切なのは「雰囲気作り」

「クールビス」は素晴らしい政策、戦略

堀江 技術革新を進めるための法制度の改正・・・・・・とまで行くと当てはまるかどうかわかりませんけど、僕、すべてが「雰囲気作り」だと思っているんですよ。ここ10〜15年くらいで、政府がやった政策の中で僕が一番評価しているのは、実は「クールビス」なんです。

竹中先生、「お金」について本音を話していいですか?、竹中平蔵・堀江貴文共著、ワニブックス、2015年、46〜47頁、引用

最近ワニブックスから発売された『竹中先生、「お金」について本音を話していいですか?』で、ホリエモン(堀江貴文氏)が面白いことを言っていました。大事なのは「雰囲気作り」だと・・・。

「規制緩和vs既得権益」はその通りだが・・・

この本では、改革派で有名な竹中平蔵さんとホリエモンですから、当然「改革派vs守旧派」、「規制緩和vs既得権益」、「多様性vs純血主義」みたいな対立構造で多くが語られています。ざっくり過ぎる言い方で乱暴ではありますが、一言で極論すれば「偏狭で純血的な島国根性をぶち壊せ!」みたいなノリです。それが経済活性化につながるという論法です。

しかし、理屈はそうでも感情があり利害が対立する人間の集まりが、国家であり社会です。規制緩和と自由主義経済とダイバーシティーが大切だと叫んだところで、そうやすやすと人々はついて来ません。特に昨今の少子高齢化で、元々保守的な一面のある多くの日本人は(私を含め)より一層保守的になってきていると思います。

「雰囲気作り」が重要

しかし、多くの破たん間近(!)の財政や社会制度、そして停滞する経済状況を考えると、日本は思い切った「改革」を推し進めざるを得ません。しかし、世間では①制度的な問題だけでなく、②保守的な雰囲気も充満していますから、なかなか前に進まない。

そこで、さすが堀江さんです。たぐいまれな経験を経てきている彼は、何かを推し進めるには、なんと「雰囲気作り」が重要だと看破しています。これは日本人の特性も加味して言っているのでしょう。う〜ん・・・これは“ひょうたんからコマ”(?)いやいや、“コロンブスの卵”的な発想です。

現状の観察や歴史分析、そして自らの経験から、改革を成功するには実は「雰囲気作り」が大切なんだというわけです。なんとなくわかってはいたものの、ここまでハッキリ言及する識者も珍しい。さすがです。ホリエモンは単なる知識人ではなく、時代の寵児ともてはやされた辣腕起業家&経営者でもありますから。

教育・学習シーンでも

もちろん、このことは教育や学習といったシーンでも重要です。自分の周りを見ても、例えば親や教師が子どもたちに「勉強しろ」と押し付けても、(幼いころはともかく)思春期に差し掛かれば反発し「勉強しない」方向に舵を切るに決まっています(というか、それが健全な姿です)。

しかし、東進ハイスクールの林修先生の見解や私自身の経験からも、自然な感じでアカデミックな雰囲気作りを形成すると、時間はかかるかもしれませんが、子どもたちは自然と勉強するようになる、と思います。

これからはネット塾などのeラーニング教材も多様化し、スマホ(スマートフォン)などで教材へのアクセスも身近になるので、なんでもかんでも「学習指導要領」を教室や学校で展開する必要はありません。そうではなく、「学習指導要領」に沿って児童・生徒が学習に取り組みやすい「雰囲気」を作ることが大切なのかもしれません。急がば回れ、ですね。


例えば受験サプリで、関正生先生の英語の授業は、けっこう“脱線気味”というか、入試情報だけでなく一般の社会生活や海外事例なども織り交ぜて展開されています。単純に面白いというだけでなく、様々な周辺知識の勉強にもなりますし、印象深いのでかなり記憶の定着にも寄与していると思う。人間は印象的な事象を脳に記憶する動物だからです。

さらに関先生は、ちょっとはアカデミックな雰囲気作りをも意識しているでしょう。例えば「受験サプリ」の視聴者は、英語を勉強し、大学進学を目指している。だから「英語」という言語が、大学で、アカデミックな世界で、そしてグローバルな状況で、どう活用されているのか、ということを知りたいでしょう。あるいは、知っておいて得はあっても損はない。

受験サプリではこのような「英語」という科目の周辺情報も伝えつつ、自然とアカデミックな雰囲気も醸し出しています。「雰囲気作り」という意味でも、関先生の授業は一級品だと思います。

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