代ゼミと私立文系


写真: 代々木ゼミナール、Wikipedia、最終更新2014年10月06日

代ゼミ閉鎖 背景に少子化と囲い込み激化、業界再編第2幕へ

・・・代ゼミの高宮学園は、中学入試で定評のある「SAPIX」の日本入試センターを平成22年に買収。河合塾も日能研と20年に事業提携した。これに先立ち、「東進ハイスクール」を展開するナガセが「四谷大塚」を買収しており、予備校大手と学習塾大手がそれぞれ組む構図が固まった。

そもそも、これらの合従連衡は・・・少子化に対応するため、小中高校生を確保したい学習塾と、大学受験生を囲い込みたい予備校の思惑が一致した結果だった。特に、不況の影響で大学受験生の現役志向が強まり、浪人生の確保が難しくなった予備校にとっては、「未来の大学受験生」を多く抱える学習塾との連携は、待ったなしの選択だった。

こうした中、SAPIXと組んだ代ゼミだったが、得意とする私立文系を志望する受験生が減少したこともあって、囲い込み作戦が奏功しなかったようだ。・・・
産経新聞、Yahoo!ニュース、2014年08月26日、引用

浪人・私立文系の受験生が減少

代々木ゼミナール(代ゼミ)の大規模「閉鎖宣言」は、元をただせば、「私立文系を志望する受験生が減少」に起因する。つまり、大手予備校の中でも、伝統的に「私立文系」に強みを持つ代ゼミは、その中核的強みが弱みに転じ、対応し切れなかった。こういうことでしょう。これは厳しい。

ここ数年、グローバル化の進展や研究熱心で真面目な日本人の強み、そして男性にない柔軟性と発想の豊かさ等から、産業界に「リケジョ」(理系女子)を求める声が高まっています。このリケジョ・ブームが象徴しているように、現在、大学生の就職活動において、「理系」の人気が高い。

この①理系人気に加え、長引く不況で、②私立よりも国公立大学、③浪人よりも現役合格、という動きも加速しています。①~③の動きには、総合的に経済合理性が見出されるからです。そうなると、結果的に代ゼミのドル箱である「私立文系」が敬遠され、「浪人生」の数も年々減少していきます。

行き着くところは価格破壊

インターネットとスマホ(スマートフォン)の普及で、世の中どんどん“中抜き”が進む。予備校も例外ではありません。インターネット学習塾やオンライン予備校のようなeラーニングの台頭で、既存の予備校は徐々に経営的にも厳しくなりつつあります。ベネッセの“マック”原田社長にいたっては「価格破壊」が起きると言及されています。

・・・今後はデジタル化で業界の激変が予想されている。通信教育大手のベネッセホールディングスの原田泳幸会長兼社長は「デジタル化で他業界からの参入も加速する。行き着くところは価格破壊だ」とにらむ。・・・
産経新聞、2014年08月26日、引用

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代ゼミは不動産業で生き残る

ただ、代ゼミに関しては、“不動産業”も得意としているので、しっかり生き残るかもしれません。その意味で、今回の大規模「閉鎖宣言」は高宮理事長の英断だと思います(「代ゼミ27校中20校閉鎖へ」参照)。苦しいながらもソロバンをはじいて、ギリギリ勝算ありと見ているのでしょう。

代ゼミは不動産業で生き残る 遊休地でホテル、商業施設、貸会議室

全国27校舎の7割を閉鎖する方針が明らかになった大手予備校・代々木ゼミナールが、以前から旧校舎などを活用した不動産業を進めている。古くなった建物をホテルや会議室といった形態に改装しただけでなく、おしゃれな商業施設になったところまである。・・・
J-CASTニュース、Yahoo!ニュース、2014年08月25日、引用

代ゼミは①大学受験予備校と②不動産開発の2つのノウハウを持つとなれば、その企業DNAは大きい。貴重だ。ヨソにはない優れた長所になる。将来的に財務状態が改善したら、例えば、やはり定員割れで苦しんでいる地方の大学の買収なども視野に入るでしょう。実践的な教育ノウハウと魅力的なキャンパス不動産開発で、将来注目を集めるかもしれません。

大学不動産ビジネス?

日本は欧米に比べ大学の歴史が浅く、数世紀にわたる長い伝統を持つキャンパスは少ない。オックスフォード大学が1571年創立、ハーバードが1636年に対し、東大は1877年と新しい。したがって、代ゼミのような教育ノウハウと不動産ノウハウの両方に長けた稀有な事業者は、比較的自由に新しいキャンパス作りに参入できると思う。

大学不動産ビジネスは一つの例だが、いずれにせよ、代ゼミが新たな事業展開を模索することで、日本の教育シーンが良い方向に行くことが期待できます。代ゼミにとって、災いを転じて福となす。(せん越ながら)そうなることを陰ながら祈っています。

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※参考資料:
4.大学の入学定員・入学者数等の推移、文部科学省、平成23年度
リケジョ、Wikipedia、最終更新2014年06月09日
キャンパス、Wikipedia、最終更新2013年06月26日
私大 ほぼ半数定員割れ 人口減、小規模校ほど苦戦、日本経済新聞、2014年08月07日
オックスフォード大学、Wikipedia、最終更新2014年01月20日
ハーバード大学、Wikipedia、最終更新2014年08月22日
東京大学、Wikipedia、最終更新2014年08月01日

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