フジテレビ「あすなろラボ」の「実験。林先生は子供の勉強で困っているお母さん達の悩みを解決できるのか?」の続きです。引用部分は、一部改変・省略していますが、おおよその口述筆記です。
三世代家族の重要性
林先生の説はこうです。すなわち、人間の場合、他の動物に比べ生理的 “早産” であるがゆえに、子育てというのは非常に “大変” です。歩くだけでも1年や2年もかかり、「ヒト」として脳が育つまで約10年を必要とする。少なくても三世代家族で、あるいは社会全体で、子どもたちを “多くの手” で育てていかなくてはいけない。
まず最初にお聞きしたのですが、今、おじいさん、おばあさんと一緒に暮らしている「三世代家族」という方はどれくらいいらっしゃいますか?(ほとんど手を上げない。)いない。皆さん、核家族ですか。皆さん、それが当たり前だと思ってますね。
これ(核家族)は人類の歴史上、とてもおかしなことなんです。
つまり子どもというのは、一族の中に位置づけられている。大きなバスケットの中にいて、みんなで支えていた。それを、お父さん、お母さん2人の4本の手で支えるというのは、その時点でとてつもない重さがかかる。
お父さん、お母さん2人だけで子どもの親になるというのは、とんでもない覚悟がいる。そういう覚悟がなければ親になってはいけない、とまでは言いませんが、それくらい大変なものを背負い込んでいる。そういう自覚を持って頂かないと、子どもはなかなかまっすぐ育つものではない。
そもそも人間というのは「生理的早産」。普通の動物だったら、もう少しお母さんのお腹の中にいるのです。だから、例えば馬などは、生まれてからその日のうちに立って歩くのです。人間の子どもは歩くのに、1年も2年もかかる。
ですから、生物としてはとんでもなく早く生まれてきてしまう子どもが、世の中に出てきたときに、どうやって育てていくかというと、社会全体で子宮になって(社会的子宮)、そのなかで育てていくというのが人間の子育てです。
それで一族、お祖父ちゃん・お祖母ちゃんがいて、お父さん・お母さんがいて、子どもがいて、少なくても三世代でなんとか・・・三世代あれば、8本の手で子どもを支えることができる。これでもまぁキツイくらいですよ。
ここで先生は分かりやすい事例として、「ちびまる子ちゃん」と「サザエさん」を出します。「テレビシャカイ実験 あすなろラボ」と同じフジテレビというのが、偶然というか、話の展開がグッドです。
ここで2つの家庭をご紹介したいのですが、フジテレビ日曜夕方、まず6時から始まる「ちびまる子ちゃん」。典型的な三世代家族です。6時半から始まる「サザエさん」。あそこも三世代家族です。ああいう人間関係の中でしか、実はなかなか子どもはうまく育っていかない。
で、何年くらい面倒見なければいけないか。生物としてみるとまず10年。これは後から大きな意味を持つ数字なのですが、「脳」がいわゆる「ヒト」と言える段階に育つのに、だいたい10年かかるのだそうです。
この後、林先生はちびまる子ちゃんの簡単な家計図を黒板に図示し、まる子と祖父・ともぞう(友蔵)との関係がいかに重要かを説きます。ご存知の通り、まる子と祖父は仲がよく、祖父はまる子を溺愛している(?)と言ってもいい。
このまる子・ともぞうの関係を文化人類学的に「冗談関係」(緊張緩和関係)といい、まる子は厳しいお母さんやクールなお姉ちゃん、デリカシーに欠けるお父さん(?)等に囲まれても、ともぞうが “救い” になってスクスク伸び伸びと育っていきます。
このような例からも、「三世代家族」は子育てバスケットとして、とても大切な役割・機能があるわけです。
※参考資料:
・冗談関係 とは、コトバンク、 2013年06月13日
・ちびまる子ちゃんの登場人物、Wikipedia、最終更新2013年07月31日