専門より教養を

松井証券の松井道夫社長が大学改革を辛口で直言。いわく「学部生を3割減らし、4年間はリベラルアーツ教育に徹する」と主張する。(日経新聞)

20130711_nikkei
大学改革は学部学生の数を減らすことから――。早稲田大学や一橋大学で様々な改革の論議にかかわる松井道夫・松井証券社長の持論だ。「学部生を3割減らしたうえで、4年間はリベラルアーツ(教養)教育に徹すべきだ」と説く。一方で大学院の専門教育を拡充、有望な大学発ベンチャーに大学が投資してリターンを経営に生かすことを提言する。・・・

※日本経済新聞、2013年07月11日、引用

学生数を減らし「教養」を磨け

今の大学の問題は、①少子化なのに学部学生(大学生)が増えて、大学の質が低下、②学部の専門教育があまり役に立たない点、だと指摘する。これを解決(改善)するために、①学部学生数を減らし、授業料を上げ、足りない分はベンチャー投資で補い、②専門教育は大学院にシフトし、学部では「教養」に徹する。

これが松井氏のオピニオンだ。特筆すべきは、リベラルアーツ(教養)教育の重要性を強調されています。

・・・リベラルアーツ教育が目指すのは、いわば(普遍的な前提から個別問題の結論を導く)演繹(えんえき)的な思考ができる人材の育成だ。社会に出ればこうした思考をする機会は少なくなる。学部の4年間は教養を徹底的に学び、思考力や専門教育の土台を身につける。・・・

※日本経済新聞、2013年07月11日、引用

       ※       ※       ※

「教養」の一環として専門教育を

個人的には、現状の学部の専門教育でも良いと思う。ただ「現実社会ではそのままでは使えないことが多い」という前提で、「教養」の一環だと思って「専門教育」を学ぶ。こういう位置づけで良い。社会に出たらフレキシブルに対応できれば良いわけで、その練習というかネタとして専門教育を学ぶ。

例えば法学部で法律を学んだところで、昨今は国際化もあり10年も経てば法律もかなり新しくなっている。法体系自体の考え方も変化がある。裁判員制度も加わり裁判の傾向も変わりつつある。このように大学の学部の専門教育といったって、所詮は思考の “たたき台” に過ぎない。そういう前提を分かった上で、履修していけば良い。

リベラルアーツは素晴らしいが・・・

たしかにリベラルアーツは素晴らしい。しかし人生は短い。18歳から22歳の大学4年間を、日本全国の全ての大学キャンパスでリベラルアーツ教育を実施するのは、どうかと思う。できれば高校3年間でプチ・リベラルアーツ教育を施すべきだと思う。

それに(これが実際の壁だと思うのですが)、リベラルアーツ教育はカネも手間もかかる。教授陣をそろえるだけでも大変だ。少人数教育で、授業料も集まりにくい。ちょっと現実的でない気がします。


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