以前、ネット塾(インターネット学習塾・オンライン予備校)の大学版について書いた米国の大学、無料の講義サイトの記事で、「大学の役割は、「教える」ことから「認定する」方へ移行する・・・」という日経新聞の主旨を載せました。なるほどなぁ、とそのときは思っていたのですが、今考えると、いまいちピンと来ない。
※Welcome To Coursera、YouTube、CourseraVideos、公開日2012年04月18日
つまり、従来の(現在までの)大学は基本路線として、「教えて」+「認定する」わけです。将来的に大学の “無料の講義サイト” が増えても、やはり(無料の講義サイトで)「教えて」+(大学が)「認定する」わけです。基本的には同じでしょう・・・と。
ところが、下記記事を見て、なるほどと思いました。
アメリカの名門大学が最近、インターネットを通じた無料のオンライン講座を競うように開講しています。・・・スタンフォード大学の教授が中心になって始めたCourseraは、全米の多くの大学が参加して217の講座を開講しています。受講者は世界196か国の約255万に達しました。・・・同じスタンフォード大学からはUdacityというオンライン講座も生まれています。
また昨年秋には、ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学(MIT)が、Edxというオンライン講座をスタートさせました。・・・最初に開講したMITの電子工学の講座には約160か国から15万人以上が登録しました。・・・MITの電子工学の講座の場合、毎週宿題が出されるほか、ネットを通じた中間試験と期末試験があります。これらをパスできれば、修了証書が出されます。・・・
Edxの場合、この修了証書は無料で出しています。ただ、将来は少額の課金をする計画だそうです。少額であっても受講者が数百万、数千万人に広がれば、莫大な収入源になります。有名大学が次々とMOOCsの開講に乗り出している背景には、そんなビジネス上の思惑もあるのです。
※MOOCs 有名大学で広がる無料ネット講座、読売新聞、大塚隆一・読売新聞編集委員、2013年02月04日
現在の “無料の講義サイト” の修了証書は無料ですが、将来は少額でも課金する目論見だそうです。う~ん。納得。大塚編集委員の記事は、実にわかりやすい。
少額課金でも東大はがっぽり稼ぐ?
例え100円でも、1.5万人が受講し、1万人に修了証書を発行すれば、100万円です。大学にとって魅力的な収入になるわけです。ビジネス的には、修了証書の金額設定×受講者数(修了者数)で収益が決まってきます。ネットとスマホ(スマートフォン)の普及で、 “無料の講義サイト” の受講者は理論上、世界の人口のほとんどを対象とできます。あくまで理論上ですが・・・。
また、現在のユーチューブ(YouTube)のように、広告収入も加われば、さらに大学にとってうまみが増すかもしれません。可能性から考えれば、“東大” “京大” ブランドを持つ(?)東京大学や京都大学が、莫大な収益を上げてもおかしくない。今までとは違った形で、しかし、今まで以上に、大学のブランドイメージが重要になってくるでしょう。もちろん同時に、大学の中身(=コンテンツ)も厳しく問われてきます。
将来、「江南スタイル」並に10億人が視聴する “おばけ” 無料講義サイトが出現するかもしれませんね。
※参考資料: 「急成長を遂げているオンライン教育の革命的サービス、Coursera」、市川裕康・株式会社ソーシャルカンパニー代表取締役、現代ビジネス、講談社、2012年09月07日