安いのどこ? 瞬時に比較 バーコード読み取り 通販や近隣店、価格表示
「一番安い店はどこ?」――。買いたい商品の価格を簡単に比較できるスマートフォン(スマホ)用アプリの種類が増えている。実店舗と通販サイトの価格を比べられるのが一般的。商品に付いたバーコードをスマホのカメラで読み取ったりキーワードなどを入力したりすれば、通販サイトだけでなく近隣の店の価格を表示するサービスもある。価格を重視する人、商品を手にする時間を優先する人など多様なニーズに対応している。
家電量販店大手のヨドバシカメラは2012年10月、スマホ用の無料アプリ「『ヨドバシ』ショッピングアプリ」の提供を始めた。・・・ヨドバシの藤沢和則副社長は言う。「価格比較は買い物の楽しみの1つ。店として当たり前のサービスを提供した」・・・
※日本経済新聞、2013年03月07日、夕刊、抜粋
いや~、日経新聞にすごい記事が載っていました。ヨドバシカメラも開き直ってきましたね。ヨドバシのような店舗展開している家電量販店にとって、スマホ(スマートフォン)での価格比較アプリは“天敵”のハズ。それを・・・「店として当たり前のサービスを提供した」(藤沢副社長)・・・ですよ。驚きました。“肉を切らせて骨を絶つ”といった営業戦略でしょうか。
基本的に「価格に自信あり」なのでしょう。あるいは、延長保証やポイントサービスなど、プラスアルファの店舗サービスで勝負する・・・というハラなのかもしれません。いずれにせよ、従来の発想で、スマホのeコマース系サービスと全面対決するより、ネットを存分に取り込んだ店舗サービスにシフトしたほうが勝機(商機)があると踏んだのでしょう。
多くの流通系・店舗系業者がアマゾンや楽天市場を恐れていますが、彼らにも弱点はあります。顧客は物理的に商品を見て触れられないし、配達(配送・送付)に時間とコストがかかる。もちろん現金そのものでの購入はできない。販売員の生の説明も聞けない。ヒト・モノ・カネにウィークポイントは無い訳ではないのです。理論上は、ネット販売も実店舗販売もメリット・デメリットがあり、極端な有利・不利は無い。
そういった状況に気づいたヨドバシカメラは、リアル店舗と(スマホのアプリ等)eコマース系との融合という思い切った策に出ているのでしょう。ただ単に開き直っているのではなく、ある程度勝算ありとみているはずです。さすが売り上げ国内4位の大手家電量販店ですね。
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それにしても、物品販売(物販)の世界は厳しい。ベースとして同じ「モノ」を売るわけだから、どうしたって価格競争に陥りやすい。構造的にどうしても単純な価格競争になりやすい。ヨドバシカメラのケースも、“苦肉の策”であることに変わりない。他にも、牛丼チェーン店の値下げ競争など、コモディティー商品では過当競争が起きやすい。スマホという身近なメディアでの価格比較アプリは、価格破壊に拍車を掛けるでしょう。
その点、ネット塾(インターネット学習塾・予備校)のような教育・学習系は違う。どんなに優れた教材でも、どんなに有名な講師でも、どんなにすばらしい運営システムやノウハウでも、万人受けするものは無い。個々の学習者(=顧客)によって合う・合わないが出てくる。学習者と学習提供側との相性という問題が必ずある。スマホの比較アプリ等で、今後は価格競争も激しくなるでしょうが、限定的です。この点がネット塾業界の面白いところであり、同時に難しいところでもあるのです。
※参考資料:
・「ヨドバシ.com」、http://www.yodobashi.com/、ヨドバシカメラ
・「ヨドバシ.com-iPhone対応ショッピングアプリ」、ヨドバシカメラ
・「ヨドバシカメラ Android対応「ヨドバシ」ショッピングアプリの提供を開始しました」、ヨドバシカメラ、2012年10月3日
・「ヨドバシカメラ – Wikipedia」、最終更新2013年01月09日
・「アマゾン」、http://www.amazon.co.jp/
・「楽天市場」、http://www.rakuten.co.jp/
・バーコードを読みとってネット最安値を教えてくれるアプリ「クイックスキャン」 – GIGAZINE、2012年11月08日
・目の前の商品の価格.com最安値がスマホでバーコード撮影すれば確認可能な「価格.comバーコードサーチ」を使ってみました – GIGAZINE、2012年12月03日
・「佐々木和郎 BLOG: ネットによる価格破壊」、2009年9月27日