よく「おばあちゃんの知恵」なんて言いますよね。「茶シブは、スポンジに塩をつけて磨くとよくとれる」とか「畳は酢で掃除するといい」とかいうあの生活の「知恵」です。・・・
きっとおばあちゃんも最初は誰かに「茶シブはスポンジに塩をつけて磨くといいよ」と聞いたのだと思います。そしてその後に実際に自分でやってみたはずなんです。だからこそ「あ、確かに綺麗になるなあ」と感動した体験があって、それが知識を知恵に昇華させているのです。
※大人のための数学勉強法 ― どんな問題も解ける10のアプローチ、永野裕之(著)、ダイヤモンド社、2012年、26頁
この後、著者の永野裕之先生は「数学」を勉強する場合、知識を知恵に昇華するためには「証明をしなさい」とおっしゃる。自分で証明することで「ああ凄いなあ。本当なんだなあ」と感動する。この感動が知識を知恵に変える。
無意味感想な知識から “有意味感動” な知恵に
ちなみに永野先生は大人向けでもある数学塾「永野数学塾」の塾長をされています。とにかく自ら証明し「なるほど!」と思うことで、数学が無意味感想な知識から “有意味感動” な知恵に変わるわけです。テレビで「なるほど」がウリの池上彰さんが、皆さんの支持を得るのももっともですね。
これは数学にかぎらず、どんな教科でも同じことでしょう。前にドラゴン・イングリッシュで有名な英語教師・竹岡広信先生が、NHKの番組で同じようなことを言っていました。すなわち、彼は京都大学在学中に塾講師として英語を教え、厳選した「受験英語」でガッツリ指導した。しかし、進学実績はサッパリだった。・・・悩んだすえ、生活に密着した時事英語を中心に指導方針を切り替えた途端、結果が出た。教え子が志望校に合格し始めたのです。
やはり英語でも無意味感想な受験英語ではダメで、”有意味感動” な時事英語だと生徒も食いつきやすい。ちょっとした感動をすることで、生徒たちは英語を自分のこととして身につけやすい。「おばあちゃんの知恵」ならぬ「英語の知恵」(?)ですね。
※参考資料: プロフェッショナル 仕事の流儀 英語講師 竹岡広信の仕事 “なにくそ!”負けたらあかん [DVD]、NHKエンタープライズ、2006年