突然到来した「10年後の未来」、気候モデリングや疾病分析に応用も
・・・従来の囲碁ソフトは、「モンテカルロ木探索」と呼ばれる手法をとっていた。まず、人間にはデタラメにも見える手をランダムにAIが考案し、ひたすら終局まで打ち切る作業を大量に繰り返す。そこから逆算して勝率が高かった手を選ぶという考え方だ。・・・
ここに、シミュレーションの途中で発見された「良さそうな手」を、更に深く探索する「木探索」というアルゴリズムを加えて、着手の精度を高めた。・・・だが、モンテカルロ木探索による棋力向上は、ここ数年頭打ちになりつつあった。
グーグルは「ディープラーニング(深層学習)」と呼ばれる技術を、モンテカルロ木探索と組み合わせた。人間の頭脳を模してコンピューターを連結したネットワーク上で、コンピューター自らが学習する特徴を持つ。画像認識分野でコンピューターが自ら「猫」「人間」などを高精度に識別できるようになった成果により、一気に注目を集めた技術だ。・・・
※グーグル、囲碁で「人間超え」の衝撃、日経ビジネスオンライン、2016年01月29日
コンピューター自らが学習する
コンピューター、そして人工知能(AI)は基本的に自ら学習することはなく、教師役である人間が何らかのパラメータを生徒役であるコンピューターに与えなければならない、と考えられてきた。それがここに来て、(良い意味で)根本から崩されてきた。
上記に記事によれば、Googleは猫の大量の画像をコンピューターに読み込ませるだけで、コンピューター自らが「猫とは何であるか」を学習させることに成功した。自分で学習したコンピューターは新しい猫の画像を見せられても、それが猫であると判るという。これはまさに人間の学習行為に近く、非常に画期的だと言える。
猫をたくさん見せれば、猫とは何かと理解する。囲碁をたくさん練習させれば、囲碁がうまくなる。言葉をどんどん聞かせれば、人間の言葉を理解できるようになる。なんと人間的な “プログラム” なんでしょう。スバラシイ・・・。
ブラックボックス化するAI?
さらに乱暴に言うと、この「自ら学習する」システムというのは、面白いことに(?)そのコンピューター上のシステム構造が明確にハッキリわかっていません。いろいろトライ・アンド・エラーで探っているうちに、「自ら学習する」システムが出来上がってしまった・・・という側面もあります。誤解を恐れず言わせていただければ、人工知能の中身はブラックボックス化しているわけです。これも人間的と言ってしまえば、人間的です。
そういう意味では、人工知能は制御しにくい機械かもしれません。まるでターミネーターのように・・・。精度の高いパフォーマンスを示すが、何を考えているかわからない機械。そういう存在になる可能性があります。これからは “人間への教育” において、いかに人工知能を制御し、正しい方向に導くか、あるいは適切に利用するかが重大なテーマになると思います。
※参考資料:
・パラメータ、Wikipedia、最終更新2016年01月13日
・「囲碁の謎」を解いたグーグルの超知能は、人工知能の進化を10年早めた、WIRED.jp、2016年01月31日
・グーグル、スマホに画像認識AI 半導体企業と提携、日本経済新聞、2016年02月02日
・人工知能って何?、(社)人工知能学会
・人間は2045年に不要になる?人工知能の進化が引き起こす恐怖、Suzie(スージー)、2015年10月31日