大阪大学の岩居教授大阪大学の岩居弘樹教授は、「MOOCのようなコンテンツ配信の仕組みには可能性を感じている」としながらも、「私が見る限りでは、MOOCのコンテンツそのものは20世紀の教育映像と変わらない。もう少しインタラクティブな作り方ができるのではないか」と指摘する。
改善のヒントになり得ると同教授が指摘するのが、袖ヶ浦高校の教員が2人一組で作成している動画だ。動画の中に聞き役がいて、説明の途中で相づちを打つなど分かりやすさに配慮している。「教員が親しみやすい動画をさっと作り、目の前の生徒に見せるといった形がよいのではないか」・・・
※タブレットがあれば「パソコン室」は不要? 教育ITの先駆者が本音で議論、TechTargetジャパン 教育IT、2015年05月14日、引用
映像授業は古臭い?
IT(ICT)教育というと映像授業が真っ先に思い浮かびますが、岩居教授に言わせると “古臭い前世紀の遺物” 的な(そこまで言っていないが・・・)コンテンツらしいです。確かにそう言われてみれば、そうかもしれません。
もしかして「秀英iD予備校」も、バッサリ切られちゃったかな? いやいや、秀英iD予備校は十分インタラクティブですよ。そもそも、秀英の映像授業はオーソドックスにしてピカイチの評価があります。僕はひそかに秀英iD予備校を「安心・安全のネット塾」と呼んでいます。
インタラクティブ・ティーチング
インタラクティブといてば、スカイプを使ったインターネット英会話(オンライン英会話)が挙げられます。レアジョブ英会話やラングリッチなどが有名ですね。実はこれを模して、オンライン家庭講師的なサービスも出てきています。オンライン家庭講師「家庭ネット」やインターネット家庭教師Nettyなどは、まさにマンツーマンの家庭教師による指導を、ネットを使って低価格で提供しています。
まぁもちろん、前述の阪大・岩居先生がおっしゃるように、学校の先生が気軽に動画をアップロードして、それを目の前の生徒たちが気軽に視聴し勉強するパターンもいいでしょう。これもまた、21世紀型の地に足のついたインタラクティブ・ティーチングかもしれません。
「動画」作成のロールモデル
しかし、現役教師の一部にとって、気軽にといわれても「動画」作成のハードルは高い。そもそもどういった動画が適切なのか、ロールモデルもない。伝統的に学校教育には「動画作り」などは想定していないからです。やはり、見よう見まねというか、例えば前述の秀英iD予備校や受験サプリの「動画」をみて、どんどん参考にしていくのもアリでしょう。
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たとえば、受験サプリの関正生先生の英語の授業は、最高レベルの一つです。とくに現役の英語教師には、めちゃくちゃ参考になるでしょう。それに関先生自身が、いわゆる “英語好きの生徒” あがりではないので、英語嫌いな生徒にも好評です。
できるだけ圧縮された英語知識、凝縮したコアな英文法などで、受験英語を攻略する。単なる「丸暗記はしない」。これが関先生の英語教育における哲学だと思います。関先生の著書『世界一わかりやすい英文法の授業』には、まさにこの哲学が息づいている一冊です。
近未来の学校の先生は、①理想の授業をインターネット等で模索し、②「親しみやすい動画をさっと作り、目の前の生徒に見せる」(上記の岩居弘樹教授)必要があるかもしれません。これがオンラインとオフラインを組み合わせた「インタラクティブ教育」のモデルケースになると思います。
※参考資料:
・インタラクティブとは|対話型|双方向型、意味/解説/説明/定義、IT用語辞典
・東京大学 インタラクティブ・ティーチング、2015IT v2、Mooc Let
丸暗記不要の英文法、関正生著、研究社、2015年