生徒が先生、教員は見守り役

生徒が先生、教員は見守り役
――「iPad×反転授業」で見えた“ちょっと先の授業”

生徒が声を出すのは、教員に当てられたときだけ――。「iPad」や「反転授業」を生
かし、そんな数学授業の在り方に一石を投じるのが、近畿大学附属高等学校だ。その
ユニークな取り組みを見ていこう。・・・

TechTargetジャパン 教育IT、2014年06月18日、引用

こちらの記事は、主婦で教育ICTライターの神谷加代さんが書かれたもので、非常にわかりやすくまとめられています。フラットな取材姿勢も“神谷ライティング”の特長で、私は好きです。

一石四鳥(?)の“eラーニング&ワークショップ”スタイル

この近大附属高校の試み(同校数学科の芝池宗克教諭)は、なかなか素晴らしく、つまり単なる反転授業ではない。一言で言えば、ワークショップ・スタイルというか、生徒同士の勉強会スタイルです。確かにeラーニング(iPadとCYBER CAMPUS)をうまく活用していますが、それ以上に授業全体の運用がすばらしい。

教室では①まず複数のグループに分け、②生徒それぞれに役割(担当)を割り当て、③その役割が同じ同士を、再度グルーピングして勉強を進める。そして、④同じ役割同士で勉強が深まったら、また最初のグループ(①)に戻り、その生徒は教師役になり、グループ構成員に教える。

この①~④の流れを機動的に行う。つまり、一人の生徒は、(1)eラーニングでざっくり学びつつ、(2)同じ役割同士で学習を深め、(3)他の生徒に教えることで知識を身に付け、(4)さらに、他の生徒から教えられることで関連知識も得られる。

まさに、一挙両得、いや一石二鳥、いやいや“一石四鳥”と言ってもいい学習スタイルです。素晴らしいの一言です。個人的には革命的な新しい授業の進め方だと思います。近大附属高校、おそるべし。

教員の質的な転換

もちろん、このやり方も絵に描いたように上手くいくわけではなく、当然に各学習ステップでつまずいたり止まったりします。そこで重要なのはファシリテーターである指導教員の存在です。いかに生徒の学習行動をスムーズに推し進め、“勉強会”全体を円滑にかつ活気あるものにするか。教員の“腕”の見せ所です。

ただ従来のように、先生(教員)自身が一から十まで教える必要はなく、eラーニング教材や教師役の生徒がいますので、それら(彼ら・彼女ら)を上手に使えば事足りる。つまり、先生の量的な労働負担はトータルで減らすことができます。教員において、新たな質的な能力は問われますが、量的な負担を減るでしょう。教職内容における量から質への転換が図られるわけです。

先生、世界一多忙なのに・・・」でも書きましたが、教員・教職への社会的リクエストは増える一方なのに、仕事のやり方は旧態依然としており、その結果、多くの教員は疲弊しています。真面目な教職員ほど、うつ病になりやすいというブラックな状況は、構造的なものと言えます。

したがって例えば、この近大付属高校の“eラーニング&ワークショップ”的なスタイルを取り入れることで、教員の過度な負担を減らし、かつ学習効果の高い状況を作り出すことができます。そして、“労働環境”と“学習効果”という先生と生徒が双方かかえている問題を、一挙に解決する方向に導きます。そういう意味でも、私はあえて「革命的」という過激な言葉を使いたい。

この“ちょっと先の授業”は「革命的」なのです。

※参考資料:
マルチスクリーン対応教育ICTソリューションパッケージ「CYBER CAMPUS(サイバーキャンパス)」、株式会社エヌ・ティ・エス
主婦もゆく iPad一人歩記、KAYO(神谷加代)氏
ファシリテーター、Wikipedia、最終更新2013年09月08日

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