・・・人手不足と賃金上昇が広がるアジア。豊富な人材を武器に投資を引き寄せているのがフィリピンだ。25歳未満が人口の55%。日本(23%)はもちろん中国(36%)より若者比率が高く、毎年約50万人の若者が大学を卒業する。しかもみな公用語の英語が堪能だ。
「分かりやすく回答する練習をしましょう」。保険会社などの事務を代行する米企業EXLサービス(※筆者注:EXL Service)のフィリピン拠点。治療内容が医療保険の支払い対象かどうかなど、高度な問い合わせに英語で対応する。
採用2000人のうち800人は医師や看護師の有資格者。保険・医療業務幹部のレンバート・デ・ビラ(56)は「出稼ぎに行かずとも高待遇が得られる」と語る。同社はフィリピンの人材を原動力に2011年度は最高益を稼いだ。
10年のアキノ政権誕生で政情が安定。EXLのように事務を請け負うビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)企業の進出が相次ぎ、12年の実質経済成長率は6.6%に達した。・・・
※日本経済新聞、2013年02月19日、抜粋
BPO等でフィリピン経済は成長
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を中心に、最近のフィリピン経済は成長しています。やはり要因として、公用語である「英語」の存在が大きい。高学歴のエリートだけでなく、庶民の隅々まで、少なくても客商売をするフィリピン人はほとんど全て英語を使えます。例えばマニラの「クリーニング店のねーちゃん」(庶民の代表例?)は「算数」はダメでも、「英語」は上手い(注:「トリカゴ」)。
アジアの主要国では、インドも英語が公用語(準公用語)です。しかし「バイリンガール英会話(3)」でも、少し触れていますが、インド人のインド英語は聞き取りにくい。なまりがきつい。これについては、私も外資系企業に勤めていたときに経験しました。
フィリピン英語はアメリカ英語に近い
それに比べ、フィリピン英語は“米語”に近い。フィリピンがアメリカの植民地だった歴史もあり、アメリカ英語に近いのです。その証拠に近年、米国系企業のコールセンター業務などが、フィリピンにシフトしている。フィリピンは、米国系企業BPOの一大拠点になってきています。
またここ数年、隣国の中国人がSkype(スカイプ)によるフィリピン人英会話レッスンに取り組んでいます。北京五輪や上海万博などもあり、そもそも中国では英語教育に熱心な傾向があるのですが、このスカイプ英会話トレーニングも一役買っているようです。ネット塾(インターネット学習塾・予備校)ならぬ「ネット英会話」ですね。
大前研一氏によれば、中国人の英語力向上は顕著で、「アメリカのテレビ番組を見たり、無料インターネット通話のスカイプ(Skype)による1か月100ドルで英語が喋り放題のフィリピンの英会話トレーニングサービスを利用したり・・・」(注:週刊ポスト)して、勉強しているそうです。そして現在、英語に堪能な中国人が急増しています。
スカイプによるフィリピン人英会話レッスン(ネット英会話)は、最近日本でも盛んです。「オンライン英会話レアジョブ」、「hanaso」、「ラングリッチ」など複数の業者が競っています。また最近、大手DVD関連の「DMM」もネット英会話に乗り出し、「DMM英会話」をはじめました。これは実はすごいことで、安価で始められるネット英会話は、日本の英語教育をひっくり返すかもしれませんね。
※参考資料:
・「トリカゴ:バックパッカー向け長期旅行、一人旅の総合情報」、http://www.tkago.net/tguide/phil_eng.html
・「フィリピン – Wikipedia」、最終更新2013年02月10日
・「Filipinos 2nd largest Asian group in US, census shows」、INQUIRER.net(Latest Philippine News for Filipinos)、2012年03月25日
・「大前研一「ニュースの視点」Blog」、http://www.lt-empower.com/koblog/viewpoint/2465.php、2013年02月15日
・「英語圏 – Wikipedia」、最終更新2013年01月19日
・「NEWSポストセブン|日本の英語教師TOIEC平均560点 教えるのでなく教わるレベル」、http://www.news-postseven.com/archives/20110216_12823.html、大前研一氏、週刊ポスト2011年02月25日号
・「オンライン英会話レアジョブ」、http://www.rarejob.com/、株式会社レアジョブ
・「オンライン英会話hanaso」、http://www.hanaso.jp/、株式会社アンフープ
・「ラングリッチ」、http://langrich.com/、Langrich Holdings Pte. Ltd (Singapore)、株式会社ラングリッチ
・「DMM英会話」、http://eikaiwa.dmm.com/、株式会社DMM.com