大学受験の地域間・所得間格差を是正するオンライン予備校がもたらす受験の未来
・・・近年、オンラインで勉強するというスタイルが定着しつつあるという。リクリートマーケティングパートナーズが2011年よりスタートした「受験サプリ」もその一つだ。無料で大学入試過去問をダウンロードできたり、センター試験の模試を受けることができたりするほか、月額980円で実力派の予備校講師の講義をいつでもどこでも受けることができるサービスだ。・・・
「東京大学大学院の調査で、『保護者の所得と子どもの大学進学率に相関性がある』というデータがあります。保護者の所得水準が下がれば下がるほど、大学進学率も下がっていて、これは受験勉強における所得格差、教育格差だと思いました。」・・・
受験生のおよそ7割が塾・予備校に通っておらず、通うことができない理由を聞くと、約半数が家庭の経済事情を挙げたという。・・・
「経済的には十分でも、予備校が街中にしかなく、家から電車を乗り継いで2時間半かかるとのことでした。それが理由で通うのをあきらめていました。日本全体で見ればこのような悩みを持つ高校生はたくさんいて、彼らは地域による受験格差を抱えています。」・・・
※PRESIDENT Online – プレジデント、2014年03月18日、引用
ご存知、オンライン予備校の「受験サプリ」です。18日のPRESIDENT Onlineにリクルートマーケティングパートナーズ(リクルートMP)の松尾慎治さん(受験サプリ・編集長)の記事が出ていました。そもそも受験サプリのキャッチフレーズは「受験に、自由を」ですが、松尾さんも“いかに教育の格差是正を図るか”ということにこだわっています。
以前、同じリクルートMPで受験サプリを開発した池田脩太郎さんの話も載せました(受験サプリ開発秘話)。そこでも「経済的、物理的な理由で塾や予備校に行けない高校生のためになりたい」という理念が目を引きました。教育格差是正、それが「受験に、自由を」につながる。理念は一貫してます。
70万人が受験サプリでスマ勉
受験サプリは徹底してオンラインにこだわり、月額980円にもこだわった結果、100万人超の会員を獲得。そして、その約7割がスマートフォン(スマホ)で利用しています。松雄さんいわく、これを「スマ勉」と呼んでいるそうです。約70万人の受験生が受験サプリでスマ勉しているわけです。
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包括的にスマホ利用代金は若干かかるものの、リアルな予備校に遠距離通学するより、はるかに安い。予備校の学費も移動コストも大きく節約できます。これが、オンライン予備校が所得格差と地域格差を是正する所以です。
モチベーションの維持
受験サプリのこれからの課題はモチベーションだそうです。確かにeラーニング、ネット塾系の弱みは物理的な強制力が弱いこと。生徒の自主性・主体性にゆだねられた学習スタイルなので、学習者のモチベーションをいかに高め、維持するかが弱点補強ポイントでしょう。
よくあるパターンでは、チャットやメールや掲示板等でやる気を喚起する方法があります。ただこれはオンライン予備校側の教職員の頑張りなど、マンパワーに依存しやすく、手間や人件費もかかります。そこでリクルートMPでは、①教材などを工夫し、「わかった!」「できた!」と思わせる瞬間を増やしたいそうです。達成感というか充実感というか、勉強が本来持つ楽しさをうまく引き出したいそうです。
また、②としてライバル(全国の受験生)の動向も可視化し、勉強の意欲を刺激しようと試みています。ライバルの動向が「気になる!」ことが、もっと頑張ろうというやる気・インセンティブにつながるわけです。持つべきものは良きライバルです。
もちろん、③目標となる大学の情報も充実させていくでしょう。とくに、リクナビ進学(旧リクルート進学ネット)などを運営する進学・就職情報のプロフェッショナル企業「リクルート」ですから、この③の大学情報提供の部分は一番得意分野でしょう。
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なかなか教育業というか、“人にモノを教える・教わる”ということは難しいものです。受験生の皆さんも受験サプリを利用する場合、①達成感ある教材、②ライバル可視化、③大学情報、という3つの特色を理解した上で活用していくことをお勧めします。