小学校の施設を保育園として活用する動きが目立ち始めた。待機児童問題に悩む保育園と少子化で空き教室を抱えた学校が、双方の課題を解消するための取り組み。児童生徒と園児の交流は、年少者を思いやる心を育むほか、卒園後の学校生活を円滑に始められるといった効果を生み出しているようだ。・・・ただ、教育現場での普及は十分に進んでいない。・・・国立教育政策研究所は昨年9月にまとめた報告書で、空き教室の利用が進まない理由として、費用負担の重さのほか、教室転用に対する学校側の抵抗感を挙げた。・・・
※日本経済新聞、2013年11月01日、夕刊、引用
小中学校と保育園・幼稚園を融合するのは、まさにグッドアイデア。ついでに、老人ホームも併設させたらどうか、という意見もある。生産年齢人口(15歳~64歳)が減りつつある昨今、出生率を上げると同時に、その「子育て」負担を増加する高齢者に一部負担してもらう。お年寄りに孫世代を多少面倒見て頂く。こうでもしないと、日本社会はやっていけないでしょう。
さらに、今回の日経新聞の記事でも、保育園と小中学校の “融合” は単に人員的な対応策というだけでなく、“思いやりの心を育む” など「教育的」な効用も大きい。有形無形の教育効果がある。ぜひ必要に応じ、全国に広めてほしい。
ただ学校側の抵抗感というのは理解できる。今の小中学校内部の仕事でいっぱいいっぱいなのに、新たに保育園との協働など、勘弁してくれ・・・というのが本音でしょう。
ICTによる授業の効率化・クオリティ平準化
そこでネット塾的なICT教育(情報通信技術を利用した教育)の活用です。電子黒板やタブレット等のICT機器で教育カリキュラムの遂行を効率化し、若干余裕の出た部分を保育園との交流やコラボレーションに振り向ける。これが必要でしょう。
元白鴎大学教育学部長の赤堀侃司教授によれば、ICT機器のメリットのひとつに「授業の効率の向上」をあげています。「(ICT機器は)自己完結型の勉強方法を可能にしたり、繰り返し学習に強かったりするのも特徴だ。計算ドリルの結果など、ICT機器が自動でその正誤を判別する。時間の無駄もICT機器は取り除く。」(RBB TODAY、2013年10月01日、引用)
また同時に、ICT教育は授業クオリティの平準化も図られます。赤堀教授によれば「例えば字が下手な先生は、電子黒板を利用すれば自身で字を書かずに授業を進められる。ICT機器を利用すれば、最低限度の授業のクオリティを担保できる。」と指摘しています。
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少子高齢化で経済・社会がシュリンクしつつあるニッポンにとって、ネット塾的な手法のICT教育の導入をテコに、保育園から中学校までの “保育・教育一環体制” を整備することができるのです。それが、待機児童問題を解消し、子育てと学校教育の質を向上させ、ひいては少子高齢化の解決に役立つ。教育においても、時代にあったフレキシブルな対応が求められているのです。
※参考資料:
・トレンド予測“ハイテク教育の黎明期”… ICT機器がもたらす教育改革(2/3)、RBB TODAY、2013年10月01日
・余裕教室を活用した保育所整備について、国立教育政策研究所 文教施設研究センター、平成24年(2012年)9月
・日本の人口の推移、厚生労働省、平成24年(2012年)