元プロボクサーで東京大学名誉教授? 誰? そう、世界的な建築家・安藤忠雄さんです。独立独歩のたたき上げ・成りあがり。戦後のハングリーな混乱期を経験したジャパニーズ・ドリーマー・・・。日本を代表する偉大な建築家には、様々な形容詞がついて回ります。
「子供の時に子供をさせるべきだ」と説く建築家の安藤忠雄さん。よく遊びよく学ぶ中で自ら考える姿勢が身につき、生きる力の源になるという。・・・
親は子供を突き放す勇気を持つべきだ。・・・親の決めたルールに従って自分で何をするかを決めずに育った子供が、大人になって急に決断力を持てるはずがない。・・・
子供の精気のない表情が気になる。敗戦直後に来日した欧米の外交官は子供の目が輝いているのを見て、日本の復活を確信したと聞くからだ。
日本は資源・エネルギー・食糧が乏しいから、国民の知的探究心と研究レベルの高さを原動力とせねばならない。次代を担う子供たちは創造力と、構想を実現する持続力が要る。創造力の源は好奇心。好奇心は四季の移ろいを感じ取る感性によって育まれる。・・・
自分で考える機会を与え、自立した個人を育てる。教育の基本はそこにある。
※日本経済新聞、2013年05月01日、引用
四季の移ろいを感じ取る感性
この記事には、戦中戦後に生まれた野武士世代(特定の君主を持たなかったアウトサイダー世代)の心意気がふんだんに詰まっています。後から思えば、絵に描いたようなハングリーなサクセスストーリーを体現し、自ら道なき道を切り開いた安藤さんですので、やはり当然、「子供は自立すべし」という意見になる。
ただその中に、建築家らしい一面も見えた。
「創造力の源は好奇心。好奇心は四季の移ろいを感じ取る感性によって育まれる。」
時間・空間・死生観・・・言われてみれば、四季の移ろいはそれらを感じさせる。1965年、インド・ベナレスのガンジス川の岸辺で、24歳の安藤さんはそれを感じたのかもしれません(※)。しかし、人工的な環境に囲まれた現代の子供たちは(いや私を含め大人たちも)、この「四季の移ろい」を忘れてしまっている。
私もそれに対する危機感ゼロだった。反省。安藤氏のサジェスチョン、恐るべし。
※ ※ ※
そこでネット塾です。残念ながら、インターネット学習塾・オンライン予備校などでは、まさに四季の移ろいなど、感じられるわけがない。これは事実でしょう。この点において、我々は肝に銘じるべきです。
ネット塾、インターネットでの学習ツールとは別のシーンで、子供たちは四季の移ろいを感じる機会を持つべきでしょう。好奇心を自ら育み、創造力を養う機会を作るのは、現代の日本社会の、とりわけ大都市圏社会の課題かもしれませんね。
※参考資料:
・安藤忠雄、Wikipedia、最終更新2013年06月23日
・ワーラーナシー(ベナレスから転送)、Wikipedia、最終更新2013年03月25日