一億総TOEFL時代

20131101_nikkei

政府は2015年度の国家公務員試験・総合職試験から、米国発の英語能力テスト「TOEFL」を使う方針を決めた。…政府の産業競争力会議の議員である三木谷氏(楽天の三木谷浩史社長・筆者注)が「大学入試や公務員試験にTOEFLを」と主張、人事院がのんだ。

「大学生もTOEFLを勉強せざるを得なくなる。そして大学入試にTOEFLが採用され、高校生からTOEFLの勉強をするようになり、英語のレベルが一気に高まる」。同じ産業競争力会議のメンバーである竹中平蔵慶大教授は三木谷氏の狙いを代弁する。…
※日本経済新聞、2013年11月01日、引用

タフでグローバルな国家公務員

「タフでグローバル」を連呼する(?)濱田純一東大総長の言葉ではありませんが、まずは若い国家公務員が一気にグローバル化しそうな勢いです。しかし、TOEFLと簡単に言いますが、英語の講義や論文などを対象に、聞いて読めるだけでなく、議論をたたかわせ、レポート(小論文)を書く能力まで試されます。かなりハードルの高い学術対象のテストです。

TOEFLは(米国からみて)外国人が米国の大学等でがっつり勉強できる英語力を持ち合わせているかをチェックする試験です。難易度は高い。“Frog(カエル)” は知らなくてもいいが、“Logical conclusion(論理的帰結)” については説明できないといけない。日本語に置き換えたとしても、相当レベルが高い。

「グローバル化」をはき違えている?

例えば、竹中平蔵さんみたいな一橋大学・ハーバード大学出身の超優秀な大学教授で元国務大臣ならば、TOEFLなどワケないでしょう。しかし、普通のドメスティックな高校生に対応させるのは無理だろ〜、というのは筆者の偽らざる感想です。

案の定、立教大学教授で同時通訳の第一人者でもある鳥飼玖美子さんは「TOEFLはあくまで北米の大学・大学院に留学するための試験。日本の入試に使えというのはグローバル化の意味をはき違えている」(同上・日経新聞)とご批判されています。

劇薬TOEFL導入の価値あり

でも、あえて“劇薬” TOEFL導入(大学入試・公務員試験等)の価値はある、と思う。これがうまく行けば、若い日本人の英語力向上とディベート力向上が一気に進むかもしれません。空気を読む文化とは相容れない感もありますが、もはや少子高齢化が深刻なニッポンにとって、背に腹は代えられない。海外勢と市場経済において互角以上にやっていくには、あえて厳しい道を選ぶべきでしょう。

テレビ朝日の「朝まで生テレビ!」も10年後、20年後には英語で議論しているかもしれませんね。

朝英語Biz

※参考資料;
東大卒業式「タフな人生を」、ネット塾ジャーナル、2013年03月30日
東京大学 [総長室から]総長あいさつ、東京大学、Last Updated :30.09.11
竹中平蔵、Wikipedia、最終更新2013年10月28日
鳥飼玖美子、Wikipedia、最終更新2013年06月05日
朝まで生テレビ!、Wikipedia、最終更新2013年10月29日

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