携帯電話3社は自社の顧客向けコンテンツサービスを他社の契約者に開放する。KDDIとソフトバンクは「iPhone(アイフォーン)」向け動画サービスなどを相互に開放、NTTドコモも他社のスマートフォン(スマホ)で利用できるコンテンツを増やす。各社はサービス提供を自社回線に限定し顧客の囲い込みを競ってきたが、契約回線数の飽和で、今後はコンテンツ分野に競争の舞台が移る見通しだ。・・・
※日本経済新聞、2013年02月11日、抜粋
記事をよく読んでみると、完全にコンテンツを開放するわけではない。iPhone関連のみとか、ソーシャルゲームサービスのみとか、今のところ限定的だ。大手の会社はリスクを恐れ、小出しにしがち。ビジネスに関係している人々も多いからね。ある種の官僚主義です。これは仕方が無い。
コンテンツ権利と収益
しかし、垣根が壊れつつあるのは事実。携帯電話3社が、コンテンツ自体の提供を開放し、同時にコンテンツ課金に商機を見出すのは正しい。コンテンツは著作物であり、根っこの権利を握ってしまえば、長期にわたり収益をもたらす(可能性がある)。故スティーブ・ジョブズ氏も1980年代にアップル社を首になり、その後10年間不遇時代を暮らすが、映画『トイ・ストーリー』(1995年)で一発逆転、栄光の座に復帰した。
つまり電話線という自社の「水道管の独占」は手放すが、中に流れる「水」をブラッシュアップして美味しい「天然水」にしよう・・・という作戦です。自社の水道管に他社の水も流れるが、他者の水道管にも自社の水が流れる。とにかく顧客に支持される「美味しい水」を作ろうという話でしょう。しかもこの「美味しい水」はいったん作ってしまえば(権利を得てしまえば)、長期間にわたり利益を得る(可能性をもつ)。
ネット塾(インターネット学習塾・予備校)のコンテンツもいずれここに入るでしょう。近い将来、多くの生徒たちに支持される「授業」は、スマホ上で「美味しい水」となり、携帯電話会社に莫大な「富」を生むかもしれません。