東大、現実路線にカジ 4学期制導入/秋入学見送り
東京大学の検討会議が19日、秋入学の導入を見送り、2015年度末までに4学期制を導入する最終案をまとめた。・・・入学時期を国際標準にそろえ、国際化の遅れを挽回する試みは学内外で一定の支持を集めたものの社会の変化が追いつかず、現実路線にかじを切った。・・・
議論を始めると慎重論が噴出。国家資格試験や企業の新卒採用の時期とずれることが大きな課題として浮上した。「高校卒業から入学までの半年間を有効活用するノウハウがない」「社会環境の整備が先だ」などの意見も強まった。・・・
19日に記者会見した東大の浜田純一学長は「4学期制導入だけで終わると思っていない。大きな方向として秋入学を見据えていく」と述べた。
※日本経済新聞、2013年06月20日、引用
記事を読むと、東大の浜田学長が “挫折した” かのようにとらえられるが、実質 “仮” 成功だろう。浜田さんだって、秋入学への完全移行がスンナリいくとは思っていなかったでしょう。まずは「4学期制」という折衷案で、日本と海外との “互換性” をとる。「タフでグローバルな」東大生育成への第一歩は、制度的には固められた。
仏作って魂入れず、ではまずい
次は中身でしょう。仏作って魂入れず、ではまずい。あくまで秋入学導入を今後も掲げることで、中長期にわたり、「タフでグローバルな」国際化路線を踏襲できる。浜田さんはなかなかの戦略家です。つまりこうです。
① 「4学期制」導入で、海外と国内の大学教育の垣根を低くする。2015年頃。
② 秋入学を掲げ続け、大学の「教育プログラム」をグローバル仕様にする。2015~2025年の10年間。
③ 国内の社会環境が整い次第、「秋入学」に切り替える。2025年頃。
たぶん今後、産業界の後押しがあるので、つまり彼らも外国人を雇用し始めているので、産学一体で「秋入学」に移行するでしょう。グローバル化の進展は時代の要請です。資源小国ニッポンの宿命です。人材教育に力を注ぎ、国民のクオリティーを高めていくしか、国の未来はないのです。
※参考資料:
・東大学長「大きな方向として秋入学見据えていく」、日本経済新聞、2013年06月19日
・東大、秋入学に全面移行 懇談会が早期実現提言、日本経済新聞、2012年01月18日