文部科学省が来年度から10年ほどかけて、脳の全容解明に挑む。すばらしい。ついに脳研究はここまで来たのですね。
文部科学省は2014年度から、人の脳活動の全容解明に挑む新たな研究を始める。約1000億個の神経からなる脳の複雑な回路網を、約10年かけて解明する。脳のように少ない消費エネルギーで複雑な計算が可能な新型コンピューターの開発など脳科学を応用した新産業の創出を狙う。脳研究では欧米も研究プロジェクトの推進に向けた動きがあり、日本も独自技術で対抗する。・・・
※日本経済新聞、2013年05月30日、夕刊
脳研究は90年代に進展
脳の研究は1990年代に、それ以前の時代に比べれば、飛躍的に進んだ。1996年の出版だが、脳を究める―脳研究最前線では、著者の立花隆さんが縦横無尽に「脳」について取材をし、(当時としては)語りつくしています。ただそうは言っても、当時はまだ「脳」研究が緒に就いたばかりで、全体の数パーセントしか進んでいない、という大方の認識でしたし、事実だったのでしょう。
しかし、今や2013年。文科省の計画では2024年ごろまでに「人の脳活動の全容解明」を目指す、としています。立花隆さんが “脳を究めて” から30年弱で、ついに脳研究が(基礎部分になると思いますが)完成を見るかもしれません。実にすばらしい。
「教育」そしてネット塾にも大きな影響が
記事では、コンピューター関連の開発や脳関連疾患の治療などに大きな成果を期待しています。それはそうですが、“教育・学習” にも多大なる進展・影響をもたらすでしょう。ざっくり言えば、教育とはイコール脳の育成・開発であり、脳の全容解明が教育ノウハウ等につながらないはずはありません。もちろんネット塾(eラーニング)にも影響があるでしょう。
特に日本経済は欧米と同様、すでにキャッチアップの時期はとうに過ぎており、日本経済を活性化するためには自分たちで新しい展開を創り出すしかありません。したがって学校教育なども、何かを「学ぶ」から、何かを「創る」ことが求められます。これは非常にハードルが高く、おいそれとは実現できません。たぶん、「創る」ためには前段階として「考える」ことが重要でしょう。言い換えれば、「まねる」→「学ぶ」→「考える」→「創る」といったステップを踏む必要があると思う。
日本人にとって「教育」に求められる内容物・成果物が、とてもハイレベルになる。そうなれば、いかに効率的に(いかに楽に?)教育・学習を進めるかが、カギになります。昔ながらの教育システムでハイレベルの成果を求めると、生身の人間の脳は “パンク” してしまう。教育にも新しいやり方が必要です。そのためにも「脳の全容解明」が、日本の教育を高品質のものに変えることを、ぜひとも期待したいと思います。